デザイン思考で行こう!

Life will find a way, we'll find a way technology lives.

私が取り組んでいるモビリティサービスの説明をします。

「まち」はモビリティと共に成長してきました。道ができ、水路が開かれ、港がつくられると人々が集まり、「まち」が形成されました。鉄道が敷かれ、自動車道路が伸延されて、まるで血管を流れる血液のように人々の移動が活発になり、「まち」は発展してきました。

しかし、自動車交通への依存度が増した現代の日本の都市や地方地域は、交通渋滞、交通事故の増加、駐車場不足などの交通問題と、それに起因する大気汚染や温室効果ガス排出といった環境問題を抱えています。マイカー移動を前提とした「まち」が形成された地域では、公共交通が衰退し、多くの交通弱者が生まれています。東京などの大都市でもバスの運転手が不足し、赤字でない路線でもダイヤの削減を余儀なくされています。また、高齢のドライバーによる自動車事故も増加を続けています。

これらの問題を解決するために、まず行政の主導で、大量輸送が可能な公共交通の再整備に取り組むべきではないでしょうか。BRT(バス高速輸送システム)のほか、既存の鉄軌道を活用したガイドウェイシステムやLRT(次世代型路面電車システム)などの、コンピューター制御によって自動化、省力化が可能な次世代の軌道系交通システムなどが、再整備の選択肢になると思います。

そして、公共交通の利用促進には、それを補完するマイクロモビリティすなわち短距離の移動手段が必要です。マイクロモビリティは毛細血管のように、人々の移動を「まち」の隅々まで浸透させて「まち」を元気にします。

PerceptInは、Baiduの自動運転部門出身のShaoshan Liuが、2016年にシリコンバレーで創業しました。現在、独自のセンサー融合技術によって、ロボットや無人作業車などの自律走行を可能にするコンピュータビジョン製品を提供しています。これは、LiDARに比べ、非常に安価で消費電力も低いという長所と、現時点では高速走行には対応できないという短所があります。

私は、一年ほど前にPerceptInに出会いました。そして、日本各地で行われている、最高時速が20kmの低速の車両(LSV)などを使った輸送サービスの実証実験を調査し、この特徴を最大限に生かしたマイクロモビリティをデザインしました。

それは、自律走行可能な電動のLSV(LSEV)による、マイクロ・ロボットタクシーサービスです。用途は「地域住民の生活の足」「観光スポット巡り」「テーマパーク内の移動アトラクション」で、1人から8人ぐらいのグループの、2km(時速12kmで10分)程度の短距離の移動です。LSEVは環境に優しく、歩行者や自転車との共存が可能です。

現在、プロトタイプのLSEVを使って、中国の深センでレベル4の自律走行試験を続けています。
 


PerceptInの自律走行の技術については「DragonFlyによる自律走行車の構築」をご覧ください

お問い合わせは、contact に @ と ibornb.red をつけたアドレスまでメールでお寄せください。 

企業や一般の人が生み出したり消費したりするコンテンツ、文字や写真などによる情報のほとんどがデジタルになった現代、それらがプリントされた紙の必要性は失われてしまったのでしょうか。少なくとも、これまでのプリントの役割の多くは、スマートフォンの画面で代替できるようになりました。

当然のことですが、文字や写真などによる情報というコンテンツに価値がなくなった訳ではありません。それらを記録し伝達し保管するメディアが変化し、それによって、コンテンツの新しい流れが生まれ、紙というメディアの役割が激減しました。しかし、流れるコンテンツの量は桁違いに増加しています。

多くの人がプリントの役割は終わったと考えている現在は、プリントの新しい価値や、潜在する役割を発掘するチャンスでもあります。それは「やっぱり紙はいいね」ではなく、デジタルコンテンツの新しい流れをつくり、そこに必然性のあるプリントの役割、あるいは、プリントがあることによって可能になる体験を創造することだと思います。

コンテンツの新しい流れとは価値の流れであり、価値の流れをつくれば、そこにお金の流れも生み出すことができます。それはビジネスモデルです。流れの中にプリントがあることによって可能になる新しいビジネスモデル。プリントがマストハブ...必ずしもプリントそのものに課金はしない...いろいろありそうです。新しいビジネスを考えている企業の方々とお話しながら、そんなことを考えました。
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「平成の30年間、日本は敗北の時代だった」。経済同友会代表幹事の小林喜光氏が、1月30日の朝日新聞朝刊のインタビューで、アベノミクスはそれ自体が成長の戦略だったわけではなく、なにか独創的な技術や産業を生み出すための時間稼ぎに過ぎなかったと話していました。そして、皆で楽しく生きていきましょうという空気で取り巻かれた日本の国民や政治家は敗北を自覚せずに、顕著な結果を生み出すことができないまま新陳代謝を怠った時代だったと平成を総括しました。

日本の国民や政治家は敗北を自覚していなかったのでしょうか。もし自覚したとして、そこから何かが生まれたのでしょうか。

平成の敗北日本 → Wedge Infinityへ
 


カメラはピーク時から80%減少しましたが、まだ落ち込むでしょう。キヤノンはカメラ業界でトップですが、トップのまま市場とともに沈み続けています。(中略)コンシューマやハイアマチュア向け市場の部分がどれほど残るかは、見えない。確実に残るプロ市場以外は、10年後などの将来には素人向けのカメラ市場は消滅し全部スマートフォンに置き換わる可能性も高いと思っています。
これは、週刊ダイヤモンド新年合併特大号に掲載されたキヤノンの御手洗会長兼CEOの言葉です。フィルム時代からカメラの盟主であったキヤノンが、プロ市場以外のカメラ市場がスマートフォンによって消滅するという見通しを示したことに驚きました。

デジタルカメラは、カシオやパナソニックの新規参入組の電機メーカーが先行しました。それまでパソコンへの画像入力デバイスとしてデジタルカメラの開発に取り組んでいたキヤノンは、フィルムカメラ事業のリソースをデジタルカメラに集中し、2000年に発売したIXYデジタルを大ヒットさせてイノベーションに成功しました。しかし、そのキヤノンはスマートフォンの時代に「革新的な技術を導入して製品を再定義する」ことを諦めてしまったのでしょうか。

デジタル時代になって、特にコンシューマエレクトロニクス産業で、ひとつの事業ドメインにおいてインクリメンタルな技術の進歩による製品開発を繰り返すだけでは、長期的な事業の成長を維持していくことが困難になりました。企業は、ヽ弯慧な技術を導入して製品を再定義するか、⊆社の保有技術を応用した新しい製品によって新しい事業ドメインに進出するか、のいずれかの事業戦略によってイノベーションへの挑戦を続けなければなりません。

イノベーションによって誕生したデジタルカメラも、インクリメンタルな技術進歩で高性能化と高機能化を続けてきました。この期間は、社員は可能な限りベストを尽くし物事を「実践」します。既に習得したことに集中し、失敗を最小限にしようとします。しかし、「実践」だけを続けていると、社員は既知の範囲から出て、リスクのある新しいことに挑戦しようとはしなくなります。これは、日本のコンシューマエレクトロニクス産業全体に言えることではないでしょうか。チコちゃんに叱られます。

もっと深刻なことは、もしイノベーションに取り組もうとする社員がいても、「実践」だけでは、イノベーションに必要な「学習」をすることができないということです。「実践」の目的は成功であり、「学習」はリスクを恐れずに「失敗から学ぶ」ことですから両立することはできません。仕事でもスポーツでも、新しい目標に挑戦するには、そのための専門的なトレーニングが必要です。イノベーションにも、そのためのスキルを磨くための「学習」が必要です。

いくつかのメーカーでは、「社員のアイデアを素早く商品化して小ロット生産で市場に出し、顧客の声を聞きながら完成度を増す」という、エリック・リースの『リーンスタートアップ』の考え方を採り入れた取り組みが行われています。しかし、リーンスタートアップの本質は、早く失敗すること、製品がダメなものであることを資金を使い果たす前に知り、その失敗から学ぶことであり、成功するための方法論ではありません。

失敗から学ぶためには、失敗することを恐れずに享受するという気持ちがなければなりません。それは成長思考(グロースマインドセット)と呼ばれます。しかし、「社員のアイデアを素早く商品化して小ロット生産で市場に出した」あと、商品が売れなければ、社員は常にストレスを感じることになります。気づかぬうちに学ぶことは、失敗できないということです。失敗を受け入れて検証せずに失敗を拒絶したり、学びのきっかけとなる探究的な思考を促さず視野の狭い答を求めたりするのであれば、到底、失敗から学ぶことはできません。

「学習」では、各自が能力を個々のスキルに分解し、特定のスキルの上達を目指す必要があります。多くの時間と努力が必要ですから、自分にとって大切な目標がなければなりません。そして、どのように上達するのか、そのために何をするのかというアイデアが必要です。「学習」でスキルの構築を行い、そのスキルを「実践」で活用します。「学習」の過程を具体化することで、「実践」の自信に繋がります。「実践」では、次の「学習」で何に焦点を当てるのかを特定するための情報を蓄積します。

「社員のアイデアを素早く商品化して小ロット生産で市場に出し、顧客の声を聞きながら完成度を増す」という取り組みが「学習」の場として社内で共有され、社員が意図的に「実践」と「学習」を行き来するようになり、それによって成長思考が醸成されて、日本のコンシューマエレクトロニクス産業から次々とイノベーションが生まれるようになることを期待したいと思います。

大阪万博の会場予定地となっている大阪湾に浮かぶ人工島「夢洲(ゆめしま)」は、情報通信産業などを集積した「新都心」とする構想のもと大阪市が1977年から埋め立てを始めましたが、バブル経済の崩壊で、今でも広大な空き地が広がっています。

この夢洲に自動運転の「レベル4」の専用道路を敷けば、日本が遅れをとっている自動運転による新しいモビリティサービスの開発を一気に加速できるのではないでしょうか。

万博で日本のロボットタクシーの起死回生を!-> Wedge Infinity
 

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