デザイン思考で行こう!

Life will find a way, we'll find a way technology lives.

"I wonder how your engines feel" と歌ったのはサイモンとガーファンクルですが、あなたの製品やサービスのハピネス・エンジンは快調に回っているでしょうか?

洗濯や掃除などの家事、そしてお金の振り込みなどの日常の雑務、そのような、人々が生活していくために必要なことを楽にするための製品やサービスには必要ない。しかし、やらなくてもいいことをやってもらうためには、人々に幸せを感じさせるハピネス・エンジンが回っていなければなりません。

このブログやWedge Infinityのコラムで、いくつか「カメラの再発明」について書いてきました。音楽を聞いたり、おしゃべりをしたり、ゲームをしたりするなどの、他のやらなくてもいい(生活できる)ことと同じように、人々が写真を撮るのは、そこでハピネス・エンジンが回っているからです。

インスタグラムという写真共有サービスは、新しいハピネス・エンジンが明確にデザインされています。

奇妙な形の雲や、大の字になって寝ている猫などとの偶然の出会いが「きっかけ」で、スマートフォンで写真を撮ってインスタグラムにアップします(行動)。その写真に やコメントがついたり、他の人にシェアされたりする(報酬)と幸せな気持ちになります。そして、報酬を求めて行動を繰り返すことによって、インスタグラムという仕組みや、そこで行動することに「愛着」を覚えるようになり、その行動が徐々に習慣化してきます。

すると「インスタ映え」するパンケーキを撮りに(食べに)行ったり、インスタグラムにアップするためにお弁当を作ったりなど、みずから「きっかけ」をつくるまでになります。そしてハピネス・エンジンはストレスなく快調に回り続けます。
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しかし、デジタルカメラのハピネス・エンジンは、いまにもエンストを起こしてしまいそうです。カメラの再発明とは、デジタルカメラの新しい機能やデザインを考えることではなく、そのハピネス・エンジンをオーバーホール(再定義)することです。
カメラメーカーの業績発表の際には必ずと言っていいほど、その不振の原因をスマートフォンに転嫁する発言がみられます。しかしそれは真実ではないでしょう。
- デジカメ市場はスマホに破壊されたという嘘
例えば、結婚したり初めての子供が生まれたことがきっかけで、家族の写真を撮るために一眼レフなどのデジタルカメラを購入するかもしれません。「きっとスマホよりも良い写真が撮れる」と期待する人は(まだ)いると思います。そのとき、ハピネス・エンジンはどのように回り始めるのでしょう。家族の写真を撮るという行動によって得られる報酬はどのようなものでしょうか。

家族の思い出を記録する、子供に残すために写真を撮る。写真を撮っておくだけで安心できる。あなたも、あなたの製品を使うユーザーもそう考えているかもしれません。しかし、それは「顧客の諦め」です。
顧客の諦めを理解すると、顧客が受け入れていることと本当に必要としていることとの違いに気づく。たとえ顧客が自分が本当に必要としていることが何であるかを知らなくても、あるいはそれをはっきり説明できないとしても。
- あなたの顧客が諦めていること
フィルムカメラの時代、撮った写真をすぐに見ることはできませんでした。撮影したフィルムが写真店で現像されプリントされて戻ってきてから、家族は初めて見る写真を覗き込んで、数日前の出来事を振り返り会話をしました。家族の写真を撮る多くの父親や母親にとって、その家族の会話や笑顔が報酬でした。

カメラがデジタル化されて、インターネットに繋がったスマートフォンに搭載されると、写真の楽しみ方が一変しました。撮った写真は、その場で友人や世界中の見知らぬ人々と共有できるようになりました。しかし、どうやって家族の写真を家族で共有するかを、それぞれが考えて工夫しなければならないという新たな問題が生まれました。そして、家族の写真を撮った父親や母親が報酬を得る場がなくなってしまいました。
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それでも彼らは、運動会などのイベントや家族旅行などがきっかけとなって、報酬を得られない行動を、「家族の思い出を記録する、子供に残すために」という思いで献身的に続けているかもしれません。写真を撮る彼らは、きっと幸せを感じているでしょうが、そこではハピネス・エンジンは回っていません。

ハピネス・エンジンが回っていないと、家族の写真を撮ろうとする気持ち(愛着)が薄れて行きます。その楽しみが子供に伝搬することもなくなります。写真を撮るために家族旅行に行くということはないでしょう。しかし、写真は家族のイベントの楽しさを拡げ、イベントの機会(きっかけ)を増やすことに貢献しているはずです。写真は、家族の幸せのエンジンを回す力にもなります。

インスタグラムのハピネス・エンジンが快調に回っているからといって、インスタグラムのためのデジタルカメラをつくっても意味がありません。インスタグラムの創業者でCEOのケビン・シストロムに、「デジタルカメラからインスタグラムへ写真をアップロードできるようにしないのか?」と質問したことがあります。彼は口をヘの字にして肩をすくめてから、「インスタグラムは写真共有のアプリじゃなくて、新しい体験を提供しているんだ。自分たちがコントロールできないデバイスが入ってきたら、良い体験を提供できなくなってしまう」と答えました。

彼の言う「体験」とは、ハピネス・エンジンと同様のものです。ハピネス・エンジンが快調に回るように「行動」「報酬」「愛着」をデザインして提供しているのです。ハピネス・エンジンは製品やサービスによって違います。「行動」「報酬」「愛着」という要素は共通ですが、その内容や遷移の仕方が異なります。また、同じ製品(デジタルカメラ)を使うケースでも、アプリケーション(用途)が異なる場合、例えば家族の写真と趣味の鉄道写真では、別のハピネス・エンジンが必要になります。
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デジタルカメラ時代の家族の写真のハピネス・エンジンを再定義するには、まず、行動する人が報酬を得られる場,鮃佑┐覆韻譴个覆蠅泙擦鵝撮った写真を見る家族の会話や笑顔が報酬になることは変わりないでしょう。インターネットとスマートフォンの普及によって、人々の生活スタイルが変化しました。そのスタイルに即した仕組みを提供する必要があります。きっと、フィルム時代よりも素晴らしい報酬が得られる場を提供できるはずです。
ゴールでは、新しい製品とアプリとWebサービスで新しい経験価値を提供する。そのアプリとWebサービスの利用は無料(フリー)で、新しい製品が有料(プレミアム)となりフリーミアムを構成する。 しかし、インターネットに繋がった新しい製品を購入してからでないと、その価値を実感し理解することができないとすると普及は難しい。フリーミアム・モデルでは、誰でも利用できるアプリとWebサービスだけで新しい体験を提供しなければならない。
- 製造業のフリーミアムとしてのリーン・イノベーション
行動の報酬はすぐに得られるようにするべきです。時間が経ってから思い出を振り返ったり、成長した子供に渡すときにも報酬を得ることはできるでしょうが、ハピネス・エンジンを回すためには、行動から報酬への遷移△、ストレスなく速やかに行われる仕組みを提供する必要があります。記憶が鮮明なあいだのほうが会話が弾み、それが残す写真の価値を高めることにもなります(そんな仕掛けもあると面白い)。

行動のための、写真を写すためのカメラも、再定義するハピネス・エンジンの一部として、その役割を考え直します。カメラだけの再発明ではありませんが、これまであなたの顧客や、きっとあなた自身も「あたりまえのこと」と諦めていた問題が、AIによって解決できるようになっているかもしれません。
ファインダーを覗きながら子供と会話したり、目の前の風景に感動してカメラを取り出したりしながら、シャッターを切る前に、残したいイメージを創ることが、写真の芸術的あるいは構成的な側面です。そのとき、カメラの設定を考えて操作することは、AIに任せて自動化すべき煩わしい作業です。
- AIがカメラの再発明を可能にする
How do your happiness engines feel?

引用部分の記事へのリンク:
デジカメ市場はスマホに破壊されたという嘘
あなたの顧客が諦めていること
製造業のフリーミアムとしてのリーン・イノベーション
AIがカメラの再発明を可能にする

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Wedge Infinityで連載しているコラムのタイトル『AIはシンギュラリティの夢をみるか?』は、1968年に書かれたフィリップ・K・ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』をもじったものです。もしシンギュラリティの夢をみる、すなわちシンギュラリティが起きることを望むAIがいる(ある)ならば、すでにその時点でシンギュラリティは起きていますね。

この小説は、1982年に大ヒットしたハリソン・フォード主演のSF映画『ブレードランナー』の原作となりました。そのストーリーは2019年の設定でしたが、それまでに映画のようなアンドロイド(レプリカント)は登場しそうにはありません。その続編『ブレードランナー 2049』が10月27日に公開される予定で、ハリソン・フォードが前作と同じ役で出演しているそうです。2049年のシンギュラリティ後の世界が、どのように表現されているかが楽しみです。

人工知能研究の世界的な権威であり、現在はグーグルで技術部門のディレクターを務めるレイ・カーツワイルは、2005年に出版した『ポスト・ヒューマン誕生』で、シンギュラリティ(技術的特異点)を「テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできないほどに変容してしまうような、来るべき未来のこと」と定義し、それは2045年に到来すると予言しています。

カーツワイルの考えるシンギュラリティには3つの段階があると思います。
  1. まず、半導体の計算速度が一定期間で倍々に速くなっていくというムーアの法則を前提として、コンピュータがある時点で人間の計算速度を超える
  2. そして、そのコンピュータ上で、人間の知能を超えるAIが誕生する
  3. 人間の知能を超えたAIが...
3の段階になれば、AIは人間の知能を超えているのですから、われわれ人間には想像もできないことが起こっても不思議ではありません。「シンギュラリティとは、われわれの生物としての思考と存在が、みずからの作りだしたテクノロジーと融合する臨界点であり、その世界は、依然として人間的ではあっても生物としての基盤を超越している」というSFの世界に入ってしまいます。

しかし3は2を前提にしています。そして、1と2との間の大きなギャップを無視して、1から3への論理の飛躍でシンギュラリティが語られることもあります。

カーツワイルは「人間の脳の機能を模倣できるハードウェアが、2020年あたりにはおよそ1000ドルで手に入ると予測するのが妥当だ。人間の脳の機能性を模写するソフトウェアはその10年後には出てくるだろう」と予測しています。しかし、「人間の脳の機能を模倣できるハードウェア」も「人間の脳の機能性を模写するソフトウェア」も、模倣・模写すべき「人間の脳の機能」が解明されていないのですから、その実現の道は見えていません。人間の知能を超えると言っても、そもそも「知能」とは何かという共通の認識すらありません。

人間の脳は神経細胞(ニューロン)による巨大なネットワークになっていて、その神経細胞の数は1000億から2000億個に及ぶと言われています。ニューラルネットワークは、このネットワークを数式で表したソフトウェアです。しかし、それは人間の脳を模倣したものではなく、あくまでも神経細胞の挙動にヒントを得てモデル化したものに過ぎません。

カーツワイルが言うように「2030年 には、ひとつの村に住む人間の脳(約1000人分)が、1000ドル分のコンピューティングに相当するようになる。2050年には、1000ドル分のコンピューティングが、地球上のすべての人間の脳の処理能力を超える」としても、力づく、コンピューティング・パワーだけで「人間の知能を超えるAI」をつくることはできません。

「わたしはシンギュラリティは必ずやってくると信じている人間であります」。SoftBank World 2017でこう述べた孫社長は、昨年のSoftBank Worldで、シンギュラリティについて次のように語っていました。 
人工知能のキーワードはディープラーニングであり、ディープラーニングのキーワードはビッグデータであると。つまり、データを大量に瞬時に吸い寄せて分析し、そしてみずから学習して思考するということになるのが超知性であります。この超知性の誕生がシンギュラリティであり、シンギュラリティの3つのキーワードというのがAIであり、スマートロボットであり、IoTになるわけであります。
今年の基調講演のスピーチでも、この基調は変わっていませんでした。孫社長一流の論理展開で、アーム(IoT向けのチップ)やボストン・ダイナミクス(ロボット)やワンウェブ(衛星通信)などへの投資の意義を説明しました。しかし、まだビジネスのパラダイムとしてシンギュラリティを語る段階ではないと思います。

ソフトバンク孫社長が語った野望に潜む脅威(Wedge Infinityへ)


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米国のスタートアップが発表したArsenalという、一眼レフのアクセサリシューに取り付ける小さなデバイスに搭載されたAIは、カメラのライブビューの画像を解析し、プロのカメラマンが撮影した数千の解析済みの写真の中から、もっとも似ている30の写真を選びます。似ていると判断する基準は、AIが学習によって見出したものです。そして、30の写真のExifの情報からカメラの推奨の設定を導きます。

ArsenalのAIは、お勧めの設定を提案するに止まっていますが、より積極的にAIを活用して、一眼レフカメラを再発明することも可能なはずです。

AIがカメラの再発明を可能にする(Wedge Infinity)
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アップルはHomePodの発表で、クラウドの音声アシスタントのAPIの公開を表明しませんでした。 それは、アップルの総売上の7割を占めるiPhoneというプラットフォームと、そのエコシステムを破壊したくないというジレンマにも見えます。これは前回の『図で解るアップルのジレンマ』で書いたことです。

しかし、良質なユーザー体験(UX)を実現できない、APIを介した他社ウェブサービスとの連携を回避したというのが、意外に穿った見方なのかもしれません。 今回はアップルのクローズドな戦略に逆張りしてみました。

アップルが発表したばかりのHomePodや、アマゾンのEchoやグーグルのHomeというマイク付きのスピーカーが、米国で大きな話題になっています。スマートスピーカーと呼ばれるこれらの製品は、クラウド上のそれぞれの「音声アシスタント」と呼ばれるAIとつながっています。「AI搭載スピーカー」などと呼ばれることもあるようですが、スマートスピーカーは人間の音声を音声アシスタントに送り、音声アシスタントからの応答の音声を再生しているだけです。

音声アシスタントは、ポスト・スマホの新たなプラットフォームになると目されています。パソコンの時代でもスマートフォンの時代でもそうであったように、AIの時代にもプラットフォームを押さえたものが、新しいエコシステムの利権を握ることになるでしょう。その前哨戦が、スマートスピーカーで始まっています。

アマゾン

スマートスピーカーで先行するアマゾンから見てみましょう。スマートスピーカーは、2015年に170万台、2016年に650万台が出荷され、米国のインターネットに繋がった家庭の8%にスマートスピーカーがあり、その9割はアマゾンのEchoシリーズだそうです。 

amazon

アマゾンの音声アシスタントAlexaは、スマートスピーカーから送られてきたユーザーの音声をAIによって認識し、例えば「ピザを注文して」とか「明日の天気は?」といった命令や質問を理解し、あらかじめ決められた形式(Intent)に変換して対象のサービスに送ります。その命令や質問を処理したサービスは、テキストなどの形式の応答をAlexaに返します(図のAPIの部分)。AlexaとAPI(Alexa Skills Kit)で連携する他社のサービスはAlexa Skills(スキル)と呼ばれ、その数はすでに1万2000を超えています。家の中の照明を点けたり、車の中からガレージを開けたりするなど、音声でIoTをコントロールすることもできるようになります。
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アマゾンは、自社のスマートスピーカー(Echoシリーズ)だけからではなく、ユーザーが他社の製品からもAlexaに音声でリクエストを送れるようにするための、SDKと呼ばれる開発環境(Alexa Voice Service)を無償で提供しています。すでにフォードとフォルクスワーゲンが、運転中にアマゾンのAlexaと会話できるようにすることを計画しています。

また、iPhoneやAndroidのスマートフォン向けに、(紛らわしいですが)Alexaというアプリを提供しています。スマートスピーカーがなくても、スマートフォンでAlexaと会話することができます。

グーグル

グーグルもアマゾンと同様にSDKとAPIを無償で公開して、ユーザーが音声アシスタントGoogle Assistantと会話するための他社のデバイスを増やし、利用できる他社のサービスを増やすオープン戦略を採っています。アマゾンもグーグルも、スマートスピーカーなどの製品で利益を上げることは考えていないでしょう。自社のプラットフォームのユーザーを増やして活性化させ、それぞれの本業のEコマースや広告からの収益を拡大できれば良いのですから。
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グーグルのアマゾンとの違いは、図で赤線で示したように、Android OSからGoogle Assistantを呼び出すことができることです。Androidスマートフォンのホームボタンを長押しするか、「オッケー、グーグル」と呼びかけることによって、これまではGoogle Nowの検索画面が表示されていましたが、まもなくGoogle Assistantとチャット(会話)する画面が表示されるようになります。iPhone向けにもAlexa(アプリ)のように、Google Assistantがアプリとして提供されていますが、使い勝手はAndroidスマートフォンに大きく劣ります。

いずれも、音声での会話がデフォルトですが、キーボードを表示させてテキストで会話することもできます。その場合は、答えも音声ではなくテキストで表示されます。また、グーグルのチャットアプリAlloの中でも、チャットボットとしてのAndroid Assistantとテキストで会話することができます。
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アップル

さて、Appleはどうでしょうか。HomePodが発売されていない現在の状況で同様の図を描いてみると、ご覧のようにスカスカです。
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アップルは一年前にSiriのAPIを公開しました。しかし、それはiOS上のアプリが、Siriと連携するためのものです。
Siriの実体はクラウドのコンピュータで稼働する音声認識と自然言語処理を行うソフトウェアだ。ユーザーの音声による指示を認識して、その内容を理解し、iPhoneにインストールされているアプリの中から、該当するものを探して指示の内容を伝える。「Hey, Siri. 何ができるの?」と聞くと、対応するアプリのアイコンと、どのように話しかければ良いかの例が表示される。

Siriで指示を与えることができるアプリは、アップル製のもの以外ではFacebookとTwitterだけだったが、最新のiOS10で、SiriKitという開発者がSiriを利用するための環境が提供された。「VoIP電話」「メッセージ」「写真」「Apple Pay」「ワークアウト」「乗車券の予約」「CarPlay」「レストランの予約」という8つのカテゴリの、対応する3rdパーティーのアプリにSiriで指示することができるようになる。

カテゴリーごとにSiriで指示できる機能が決められていて、例えば「メッセージ」では「メッセージを送る」「メッセージを探す」「メッセージの属性を設定する」の3つの機能があり、それぞれに必要なパラメータが規定されている。それを満たすためにSiriは、例に示したような形式に従って指示することをユーザーに求める。現時点では、Siriがユーザーを理解してくれるのではなく、ユーザーがSiriを理解して使いこなす必要がある。

アップルはグーグルのAI攻勢にどう対抗するのか?
(2016年10月 Wedge Infinity)
家電をコントロールするためのHomeKitや、運転中にiPhoneを使用するためのCarPlayでも、Siriからアプリを呼び出すことができますが、それらもiPhone(iOS)上での連携になります。また、アップルのチャットアプリiMessengeには、チャットボットはありません。

HomePodを描き入れてみても、あまり代わり映えしませんね。
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HomePodにはiPhoneのようなアプリはありませんから、SiriができることはiPhoneよりもさらに少なくなります。他社のサービスが、クラウドでSiriと連携するためのAPIもまだ公開されていません。年末の発売までに、他社サービスとの連携が行われるのでしょうか。

スマートスピーカーの米国での現在の販売価格は、アマゾンのEchoが179.99ドル、その廉価版のEcho Dotは39.99ドル、グーグルのHomeは109ドルと値下げが続いています。アップルのHomePodは349ドルで発売される計画です。

アップルがSDKを公開して、ユーザーが他社の製品を使ってSiriと会話することを許すことはないと思います。アップルは、徹底してクローズド戦略を採ってきました。それは、提供する製品やサービスのユーザー体験をコントロールするためだと言われてきました。しかし、ちょっと高音質で、音声で操作できるApple Music専用のスピーカーが、新たらしいユーザー体験を生み出す「ホームミュージックの再発明(ティム・クックCEO)」なのでしょうか。

クラウドの音声アシスタントに接続するデバイスが増え、利用できるサービスが増えると、スマートフォンの価値がクラウドに奪われてしまいます。高機能(高価)なスマートフォンでなくても、マイクとスピーカーを備えてインターネットにつながっている様々なものからサービスを利用できるようになります。いまのアップルには、自らそのような、iPhoneの価値を破壊することはできないというジレンマがあるのではないでしょうか。

ご相談やお問い合わせは、contact に @ と ibornb.red をつけたアドレスまでメールでお寄せください。 

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