デザイン思考で行こう!

Life will find a way, we'll find a way technology lives.

メーカーが生き残るためには、自社のハードウェア製品を変革しなければならない。それは、次の二つの課題に分けて考える必要がある。
  • ソフトウェアの力によって、どのように新しい価値を生み出すのか?
  • そのために、ソフトウェアの力とモチベーションをどう手に入れるのか?
メーカーが生き残るために必要なたった一つのこと → Wedge Infinitiy

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川手恭輔(Internet Born & Bred)

5/20 追記
こんなコメントがあったので...

・イヤホンにストリーミングはこれも物理的(アンテナの形状とサイズは周波数と密接に絡む)に無理。

まあ、技術については楽天的に考えましょう。とりあえずは、ポケットにあるイヤホンケースにeSIM(とアンテナ)を入れれば、イヤホン側は現状のままで構いませんし。

もちろんハードウェアとその技術は重要です。ただ、それだけではもったいない、勝負できなくなっているということです。せっかくのハードウェアの価値を、顧客価値に転換するためにソフトウェアの力が必要だということを認識しなければなりません。



5月7日の日本経済新聞(電子版)に、『勝てるか ジーンズをはいたパナソニック』という記事が掲載された。
パナソニックは4月からジーンズやスニーカーでの勤務を解禁した。朝礼で松下幸之助がつくった「七精神」を唱和する従来のスタイルを徐々に変えようとしている。自らもチノパンをはいて旗を振る社長の津賀一宏(61)はスタートアップに転職した「辞めパナ」を呼び戻したり、外部の力で社内起業を促したりなど必死だ。ジーンズをはいたパナソニックは中身も変われるのか。
このような書き出しで、パナソニックの幹部が考える「パナソニックが魅力的な商品をなかなか出せない原因」と、それを打破するための取り組みが紹介されている。

確かに、パナソニックのイノベーションへの渇望と本気は、他の多くの報道からも伝わってくる。しかし、この記事に書かれているような原因や問題は、日本の大手メーカーの中にいるものであれば誰もが認識していながら、長い間放置されてカチンカチンに固まってしまったものだ。

もちろん、自由な服装での勤務は、社員に(一部のオジサンを除いて)歓迎されるだろう。しかし、それが「とりあえず、スタートアップを真似てみよう」という発想によるものであれば間違っている。そもそも、大企業がスタートアップに学ぶべきことはあまりない。

スタートアップは、野心がジーンズをはいてフーディーをかぶっている。世界を変えてやろう、一攫千金、有名になりたい、そして、もちろん人々が困っていることを解決するといった、さまざまな野心が、ほんの数パーセントという成功の確率への挑戦にスタートアップを駆り立てる。その不確実性と非効率さを、多くの痛みを乗り越えてリストラを断行してきた大企業が受け入れるはずがない。

顧客に問うという間違い

記事中にある「社員のアイデアを素早く商品化して小ロット生産で市場に出し、顧客の声を聞きながら完成度を増す」という考え方は、エリック・リースの「リーンスタートアップ」 の表面的な解釈(誤解)によるものと思われる。

確かに、エリック・リースは、プロダクト・マーケット・フィット、つまりプロダクトを、狙う市場を満足させることができるものに育てるために、プロトタイプの段階から実際の顧客に使ってもらって、「構築 - 計測 - 学習」のサイクルを繰り返すことが重要だと説いた。しかし、それはウェブサービスやスマートフォンのアプリを想定した話であり、そのままハードウェア製品に適用することはできない。外部から人材を招き入れて導入するという、「アジャイル(素早い)」と呼ばれる開発手法も同様だ。

ウェブサービスやアプリのビジネスモデルは、プロダクトの利用が完全に無料であったりフリーミアムであったりする。プロトタイプや、必要な最小限の機能だけを実装したプロダクトを、多くのユーザーに使ってもらうことが比較的容易だ。 改良したプロダクトを公開すること(構築)も、ウェブサービスであれば毎日でも可能だ。

しかし、ハードウェア製品で「構築 - 計測 - 学習」のサイクルを繰り返すために必要な時間とコストは、ウェブサービスやアプリのようなソフトウェアとは比べものにならない。その上、顧客に使ってもらうには、製品を購入してもらわなければならない。イノベーターやアーリーアダプターと呼ばれる初期ユーザーを想定したものであったとしても、要求されるプロダクトの完成度は、はるかに高いものだ。だから、ハードウェアのスタートアップはハードだと言われている。

リーンスタートアップの本質は、早く失敗すること、プロダクトがダメなものであることを資金を使い果たす前に知ることであり、よいプロダクトをつくるための方法論ではない。顧客は「使わない」、ハードウェア製品の場合は「買わない」という無為の行為によって、プロダクトがダメなことを教えてくれるだけだ。しかし、何がダメなのかは教えてくれない。「使わない」理由を訊いて改良しても、顧客は別の「使わない」理由を考え出す。
社員のアイデアを商品化するまでに幾重もの難関がある。社内会議をクリアするために複数のプランのプレゼンテーションやそのための資料を作り、上司の承認をとらなければならない。
スタートアップでも、ベンチャーキャピタルなどからの資金を得るために、自らのアイデアを売り込み、その可能性を理解してもらわなければならない。もし、パナソニックの社内のしくみが問題なのであれば(おそらく問題だ)、まず企画や開発のプロセス全体を刷新して、「社員のアイデア」に限らず、全てのプロダクトを「素早く商品化」できるようにすべきだろう。

日本メーカーが、サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)というショーにプロトタイプやコンセプトモデルを出展することも流行りだが、そのようなスタートアップのお祭りで評判がよくても何の意味もない。「社内で評価されなくてもいい。社外から反響があれば製品化しよう」。プロダクトが提供しようとする価値を、社内では評価することができないから顧客に丸投げする。日本を代表するメーカーが、そこまで自信をなくしてしまっているのか。

提供しようとする価値への自信

プロダクト・マーケット・フィットとは、プロダクトとマーケットとのギャップを埋めるプロセス。プロダクトとはメーカーが提供しようとする価値を形にしたものであり、マーケットとはその形から顧客が得られる価値だ。ギャップとは「提供しようとする価値 > 顧客が得られる価値」であり、それは「形」を改善して顧客が得られる価値を向上することによって埋める。

「提供しようとする価値 = 顧客が得られる価値」になっても、マーケットがプロダクトを受け入れない場合は、提供しようとする価値が間違っているということだ。しかし、提供しようとする価値が明確でなかったり、それにメーカーが自信を持っていなければ、いったい何を「形」にし、どのようにプロダクト・マーケット・フィットをしようというのだろうか。

SXSWに出展され、おもわぬ好評を得たという「料理をしながら栄養とカロリーがわかるレンジのような箱」は、どのような価値を提供しようとしているのだろうか。「料理をしながら栄養とカロリーがわかる」というのは機能であり価値ではない。思いついたアイデアで、先に「形」をつくってしまうと、その価値に自信を持つことができない。

メーカーは提供しようとする価値を明確にし、それを社内で共有して「形」にし、自信と責任を持ってプロダクト・マーケット・フィットに取り組まなければならない。新しい価値を提供しようとする製品のプロダクト・マーケット・フィットには時間とコストがかかる。その価値が十分に共有されていなければ、社内に不協和音が生まれて、途中で投げ出してしまいかねない。

ディスラプションへの野心

戦後、欧米のメーカーという明確な目標があって、その目標に追いつき追い越すことに成功した日本のメーカーは、85年のプラザ合意後の円高不況で、グローバルな競争力が急速に低下した。そして、次の目標を見出せないまま、リーマンショックとその後の円高に遭遇して壊滅的な状況に陥ってしまった。

最近になって、金融緩和政策によって誘導された円安とリストラによって、表面的には業績が回復したように見えるが、実は、パナソニックに限らず、日本のコンシューマ・エレクトロニクス製品のメーカーから「魅力的な商品をつくる」力が完全に失われている。多くのメーカーは、生産のコストダウンや海外シフトに気を取られ、競争のパラダイムが生産の力からソフトウェアの力に急速に移りつつあることに気がつかなかった。

製品のイノベーションというと、それまでまったく存在しなかった製品を発明することと考えがちだが、人々の生活に大きな影響を与えるような製品は、iPhoneやiPodのように既存の製品を置き換えるものであることが多い。新しい製品を発明する時代は過ぎた。現代はインターネットとモバイルというグローバルなビジネスの基盤が整備されている。その基盤の上で、ソフトウェアの力によって、すでに大きな市場と多くの顧客を獲得している製品を、再発明して置き換える時代だ。パナソニックは、その対象となる多くの製品事業を抱えている。

パナソニックが「魅力的な商品をつくる」には、自社の製品を置き換えてやろうという野心が必要だ。それは、既存事業を破壊し再構築するディスラプションを招くことになる。長い間放置されてカチンカチンに固まってしまった「パナソニックが魅力的な商品をなかなか出せない原因」を破壊するには、トップは胆力を持ってハンマーを振るう必要があるが、その前に、再構築後のビジョン(目標)を示して社員の野心を掻き立てなければならない。

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川手恭輔(Internet Born & Bred)

トヨタが年初のCESで発表した、モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)という構想では、これまでユーザーが購入して所有していたハードウェア(自動車)を、サービスとして利用できるよう(ハードウェア・アズ・ア・サービス)にする。
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トヨタグローバルニュースルームより

ビジネスモデルのプラットフォームとして考えてみると、それはアップルのiPhoneのモデルによく似ていることがわかる。

トヨタがアップルになる日 → Wedge Infinityへ

ソフトウェアが世界を呑み込む時代に、ハードウェア製品のメーカーが生き残る方法はいくらでも考えられる。しかし、それには、たった一つ必要なことがある。それは次回(→ Wedge Infinity)に。



「世界はインターネット革命の第三の波に入った。世界のスタートアップコミュニティは、その技術を、それぞれの産業についての専門知識と組み合わせることによって、既存の産業を破壊しようとしている。これは、小規模で未成熟なスタートアップエコシステムがゲームを変えるチャンスであり、そのDNAやレガシーな強みを活かして、グローバルレベルで競争上の優位性を確立することができる」

4月17日にイスタンブールで開催された世界起業家会議(GEC)で、スタートアップゲノムと世界起業家ネットワーク(GEN)による『グローバルスタートアップエコシステムレポート2018』が公開された。冒頭の言葉は、スタートアップゲノムのCEOで共同創業者のJF・ゴーチエが、そのプレスリリースで述べたものだ。

このレポートは、100万社以上の企業と約100の地域のスタートアップエコシステムに関するデータ、そして10000人以上のスタートアップ経営者への調査データに基づいて、次の10の大項目の指標から、世界24カ国の43都市のスタートアップエコシステムを評価し、指標ごとのランク付けを行っている。

パフォーマンス(経済的な成果)、資金調達、マーケットリーチ(自国および海外の市場)、グローバルコネクテッドネス(他のエコシステムとのつながり)、リソースアトラクション(資金や人材を惹きつける魅力)、スタートアップエクスペリエンス(蓄積された価値と多様性)、才能(人材:ソフトウェアエンジニア)、起業家(マインド、DNA、ノウハウ、グロバール展開の意欲と戦略)、ローカルコネクテッドネス(ローカルな関係の強さ、コミュニティの質)、組織(支援環境やプログラムやイベント)

レポートの2017年版では、「情報技術産業が世界経済の2倍の速さで成長し、あらゆる種類の産業を変革している。経済価値の数兆ドルは、情報技術産業によって創出されており、その大半はスタートアップによって推進されている」とも報告している。

言語の問題や現地のパートナーが見つからないなどの理由からか、東京やソウルなどの都市は調査対象になっていないが、スタートアップを生み育てるエコシステムの構築は、日本経済の成長に欠かせないことだ。
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このエコシステムに関係する可能性のある方々に、レポートのご一読を強くお勧めしたい。

以下、レポートのほんの一部を翻訳して紹介する。
未来の起業家革命と技術の新時代

世界的なスタートアップ革命は拡大し続けている。グローバルでのベンチャーキャピタルのスタートアップへの投資は、2017年に、ここ10年で最も多い1400億ドル以上になった。2015年から2017年までのグローバルなスタートアップ経済の価値創出の総額は、2014年から2016年の期間から25.6%増加して2兆3000億ドルに達した。

この継続的な成長の下で、根本的な変化が起こっている。第一世代と第二世代のスタートアップエコシステムから生まれ育った、ソーシャルメディアアプリ、デジタルメディア、その他の純粋なインターネット企業といったタイプの企業は減少している。

これらの企業は、新世代のスタートアップが利用する現在のインフラを構築した。FacebookやGoogleは、グローバルなマーケティングのプラットフォームであり、Wordpressはコンテンツパブリッシングのためのツールだ。しかし、これらのサブセクターのスタートアップの起業は、これまでのようには増加しておらず、場合によっては減少している。

シリコンバレー、ロンドン、ニューヨークのようなトップレベルのスタートアップハブは、引き続きトップレベルの活動を続けており、ほとんどのサブセクターのトップパフォーマーとしての地位を維持している。しかし、フィンテック、サイバーセキュリティ、ブロックチェーンなどの特定のセクターで、強力で有望なエコシステムが出現している。スタートアップのマップの地理的かつ経済的な変化は、世界が「技術の新時代」に向かっていることを示している。

インターネットの第三の波

直近の起業家革命は、ほぼすべてがインターネットの基盤上に構築され、情報通信の技術セクターによってドライブされたものだ。これらの革命によってもたらされる価値は、インターネット自身が頼りどころにしている、シリコンベースのマイクロチップの世界屈指の生産地域であるシリコンバレーによって独占されてきた。

しかし、現在と未来の起業家革命は、情報技術とインターネットにフォーカスしたビジネスだけでなく、多様なビジネスを生む可能性を持っている。1990年代初頭から2000年代にかけて、有名なテクノロジー企業は、インターネット検索、電子メール、ソーシャルメディア、ビデオなどの、ウェブやモバイル上で完結するビジネスを構築してきたが、今後の革新的な技術は「現実世界」を変革するだろう。それらは人々のウェブ上での行動だけでなく、現実世界での行動も変え、輸送、医療、重工業、農業、さらに多くの分野の現実世界の産業が影響を受けることになるだろう。起業家であり投資家でもあるスティーブ・ケースは、これをインターネット革命の第三の波と呼んでいる。この革命の最初の波は、スティーブ・ケースが創業したAOLのような、インターネットの基礎を築くことに貢献した企業によって牽引された。第二の波は、ソーシャルメディア、インターネット検索、電子メールをウェブで構築したグーグルやフェイスブックなどの企業が主導し、スナップチャットのような企業がスマートフォンに特化したアプリをつくった。第三の波は、これらの活動と経験を「現実世界」の特定の垂直産業に持ち込むだろう。

技術の新時代:第三の波とディープテック

技術の新時代には、次の二つのいずれかに取り組むスタートアップが成功するだろう。
  1. 第三の波の特定の垂直サブセクターに取り組む:ウーバーはモビリティ、エアービーアンドビーはホスピタリティー
  2. ディープ・テックに頼る:分散台帳(DLT)、AI、ライフサイエンスなどの革新的な技術によって可能になる事業を起こす
サブセクターの成長データをみれば、第三の波とディープテックの立ち上がりがはっきりとわかる。最も急速に成長しているサブセクターは、すべて第三の波かディープテックの事業領域に該当し、衰退しているサブセクターは主に第一、第二の波のスタートアップの技術に関連するものだ。

増加したサブセクター(5年間のアーリーステージの投資案件の増加)
第1位 先進製造とロボティクス(189%)
第2位 アグテックとニューフード(171%)
第3位 ブロックチェーン(163%)
第4位 AI、ビックデータと分析(77%)

減少したサブセクター(5年間のアーリーステージの投資案件の減少)
第1位 アドテック(35%)
第2位 ゲーム(27%)
第3位 デジタルメディア(27%)

減少したサブセクターは、主にインターネットの第一、第二の波に関連している。まったく同じではないが、2015年から2017年に株式公開したハイテク企業の業績にも同様の傾向が認められる。新しい時代のサブセクターは、アドテックのような成熟したサブセクターよりもIPO後の収益成長率において優れている。アグテックやニューフードは、IPOの数は少なくても、四半期ごとの収益成長率はさらに高くなっている。

卓越したスタートアップハブ

この「技術の新時代」に、小規模なエコシステムが勢力を拡大するための戦略の一つは、既存の強みを持つ垂直産業(第三の波)またはディープテックの特定のサブセクターにフォーカスすることだ。世界のトップパフォーマーになることができるエコシステムはわずかだが、多くの小規模なエコシステムが、特定のサブセクターのトップ集団に入る可能性がある。たとえばドイツのフランクフルトは、技術の新時代に向けて、経済分野での強みをテコにして、その戦略を着々と実行に移している。

フランクフルトは欧州中央銀行の本部を持ち、欧州連合(EU)の金融の中心であり、金融​​サービス機関には7万人以上が雇用されている。さらに、この都市には、金融業界の5つのフォーブス2000企業が存在し、合計で663億ドルの時価総額がある。これらの強みに基づいて、アクセラレータ、企業が関与する取り組み、そしてコワーキングスペースといった、ターゲットを絞ったプログラムを通じて、フィンテックに向いたエコシステムを構築することにフォーカスしている。

私たちが研究した100近くのエコシステム全体の中でも、フランクフルトは、一つのサブセクターのスタートアップに最も集中しているエコシステムの一つだ。2012年から2017年の間に、ローカルのベンチャーキャピタルによる投資の50%以上が、フィンテックのスタートアップに投入された。

この戦略は、ほんの数年で良い結果が出た。ドイツで最大のフィンテックのエグジット(株式公開あるいは他社に高額で買収されるという目標を達成すること)がフランクフルトで行われたのだ。フランクフルト証券取引所を運営するドイツ取引所(Deutsche Borse)が、外国為替取引を行うスタートアップ、360Tを約8億ドルで買収した。

フランクフルトは40番目の規模のエコシステムに過ぎないが、スタートアップあたりのアーリーステージの資金調達の指標では世界で21位、コミュニティのセンス(ローカルコネクテッドネスの指標、起業家と投資家の関係性など)では世界で7位にランクされている。さらに、フランクフルトの起業家は、トップエコシステムと世界的に結びついており、それは、グローバルなマーケットリーチやエコシステムのパフォーマンスと高い相関関係がある指標だ。フランクフルトは、グローバルコネクテッドネスで世界5位にランクインしている。トップパフォーマンスのエコシステムの起業家達は、フランクフルトに来て、そこの起業家達とネットワークを構築している。それは、そこにファイナンスの専門知識とフィンテックのスタートアップが集中していることを反映しているようだ。これらの指標でフランクフルトと同様のパフォーマンスを有する小規模のエコシステムは、他にはヘルシンキとリスボンの二つしかない。それぞれ、スラッシュとウェブサミットという世界的なテックイベントの開催地になっている。

西対東:中国の台頭と米国の支配力の低下

「卓越したスタートアップハブ」の出現という、起業活動のマップの世界的な変化は、アジアにおける活発な動きの増加と米国の優位性の低下を示していると見ることができる。米国とシリコンバレーは、世界のスタートアップエコシステムの中では、依然として最高の価値を創造しているものの、これまでほどには突出していない。

過去6年間、アジア太平洋諸国の資金調達のシェアは増加したが、米国のシェアは減少した。2017年の米国におけるベンチャーキャピタルのスタートアップへの投資は、アジア太平洋地域と同額で、全体の42%を占めた。2016年から2017年で見ると、米国は少しだけ上回っていた。

この変化は、主に中国の成長によるものだ。 2014年には、中国出身のユニコーン(10億ドル以上の企業価値のついたスタートアップ)は13.9%だけだった。2017年と2018年(現時点まで)には、その数は35%に成長したのに対し、米国は61.1%から41.3%に減少した。

ユニコーンのエグジットに関しては、まだ米国が支配的だ。これはユニコーン現象が他国より早く始まったからだ。2016年から2017年にかけての、全世界のユニコーンのエグジットの65%が米国出身になっている。

過去20年間の特許出願で最も成長をした10カ国のうち、8カ国がアジアにある。特許は一つの指標に過ぎないものの、知識生産のこの大幅な増加は、AIとブロックチェーンの二つのサブセクターで特に顕著だ。

ベンチャーキャピタルの投資額で測れば、これらの二つのサブセクターでの米国のスタートアップは活発だが、中国の2017年の特許出願件数は、AI関連特許で米国の4倍、ブロックチェーンおよびCrypto関連特許で米国の3倍となっている。

未来のエコシステムを構築する。「技術の新時代」のエコシステムの構築には、技術全体をみるだけでなく、特定のサブセクターに注意を払い、そこに投資する必要がある。これは、特により小規模なエコシステムに当てはまる。新興のエコシステムが、すべての技術セクターで競争することは不可能だが、小規模なエコシステムが、いくつかのサブセクターの「卓越したスタートアップハブ」になることは非常に現実的だ。

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4/10発売の「ハーバードビジネスレビュー5月号」の「ハブ・エコノミー;少数のデジタル企業が世界を牛耳る時代」という論考は、ネットワークを活用した水平型のハブ構造のビジネスモデルの脅威を解説しています。

「ソフトウェアが世界を呑み込んでいる」と共通する問題意識です。

拙稿では、それに対して、日本メーカーは、自社のハードウェアをソフトウェア(新しいサービス)視点で再定義し、その産業に特化した垂直型ハブ構造のビジネスモデルを構築すべきと主張します。


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