デザイン思考で行こう!

Life will find a way, we'll find a way technology lives.

2013年10月


2009年にはグローバルで、パーソナルデバイスの普及は16億個、モノのインターネットは9億個だったが、2020年にはパーソナルデバイス73億個、モノのインターネットは300億個と爆発的に普及が進む。それにより、モノのインターネットによって得られる経済価値は1兆9000億ドルに及ぶと同社は予測する。その経済価値の中で最も多くの価値を享受すると見られるのが製造業で全体の15%に当たる2850億ドルの経済効果が得られる見込みだという。

これはMONOist(製造ITニュース)の「モノのインターネット」製造業への経済効果は2850億ドル―ガートナーからの引用だが、さらに次のように解説している。

モノのインターネット化によりあらゆる企業がテクノロジ企業となる可能性を持つ。製品の中にどんな技術を搭載させるのか、ということよりもクラウドの中で周辺にどういう技術を配置するのかが重要になる。今の業界の枠組みや競合関係を超えた新たなビジネスが生まれる 

「モノのインターネット」"Internet of Things" という概念はRFIDの標準化を推進したKevin Ashtonが提唱した。常時オンのRFID(無線自動識別)チップを埋め込むことで、すべてのもがインターネットにつながり遠隔操作やデータ共有が可能になるというものだ。それがクラウドや通信技術の進歩によってようやく現実のものとして考えられるようになった。しかし「製品の中にどんな技術を搭載させるのか、ということよりもクラウドの中で周辺にどういう技術を配置するのかが重要」ということを認識して、その技術だけでなくそれによって実現するビジネスモデルをデザインするという取り組みは果たして行われているのだろうか。きっとその取り組みは次に世界を変えるものになる。と、みんなが言っている。

internetofthings

「モノ」は食品から文房具や日用品、もちろん電子機器も含めたあらゆるものを指している。モノがインターネットにつながるといっても、電子機器以外は直接つながるわけではない。例えば、缶ビールなどにRFIDが埋め込まれていれば、それが冷蔵庫に入れられたときに、それをインターネットにつながれた冷蔵庫が検知して「(奥さんの)XXXさんが冷蔵庫にXXXビールを3本入れました。」とかが僕のfacebookにフィードされるなんてことになる。

things

くだらない例だったが、モノがどんなデータをクラウドに送るか、あるいはクラウドからダウンロードするか、そしてそれがユーザーにとってどのような価値になるのかはモノによって異なるし、1つのモノでもいくつかの活用方法があるだろう。モノからのデータをユーザーが理解し役に立つような情報に加工、編集して表示する。あるいはユーザーの指示を受けてモノに伝達する。それがアプリケーションだ。そのアプリケーションがなければモノをインターネットにつないだところで何の価値も生まない。「モノのインターネット」とはアプリケーションまでを含めたバリューデザインを意味している。

valuedesign

上図はあくまでも1つの実施例だが、この図で何がモノで何がパーソナルデバイスなのかをわかりやすくするために、パーソナルデバイスはiPhoneなどのスマートフォンをイメージし、モノはインタラクティブなユーザインタフェースをもたない缶ビールのようなものを想定する。
「XXXさんが冷蔵庫にXXXビールを3本入れました」のお知らせも1つのアプリケーションだが、「XXXさん、そろそろビールがなくなりますよ、今日はXXXで安売りをしてます」とかのお勧めが届いたりするなど、とりあえずうるさいとかプライバシーとかの問題は置いておいて、あなたの事業の製品やサービスに関連するモノについて「モノのインターネット」を考えてみる。技術的に実現不可能と思うことでも技術はすぐに追い付いてくる。そんなことが必要なのか?という疑問を越えて実現すれば「こんなものが欲しかったんだ」という発明につながるかもしれない。なによりもそんな取り組みは楽しい。冷蔵庫とビールだけではない(あたりまえだが)、今はだれも思いつかないけど、それが当たり前になるようなユーザー体験を考えてみよう。エンドツーエンドの価値を提供した者がゲームの勝者になる...といろんな人が言っている。

繰り返しになるが、モノ毎のアプリケーションがバリューデザインの肝になる。そしてユーザーがそのアプリケーションを利用するのはパーソナルデバイスになる。今後、パーソナルデバイスはスマートフォンという形状だけでなく多様化するだろうから、アプリケーションはそれを想定した実装で考えた方がよい。

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Amazonをブラブラしていてたまたま見つけた本、その値段(195円)にびっくりしてサンプルも読まずに1-Click™で購入してしまった。



他に読みかけのおもしろい本があったのだが、ちょうどiPodについてブログを書こうかなと思っていたのでこっちを読み始めてしまった。iPodについて書こうかと思ったのは、LinkedInでChris Fralicの記事The Butterfly that Started the Apple Tsunamiで、ちょうど10年前にiPod/iTunesがWindows対応をしたということに気づいたからだ。

On October 16th, 2003, Apple launched "the best Windows program ever" - iTunes for Windows.- Back then Apple had a whopping 3.2% and declining US computer market share. The idea of Apple writing software for the PC was heresy inside of Apple.

2003年10月16日にAppleは、”かつてない最高のWindowsのプログラム” iTunes for Windowsを発表した。その当時Appleのコンピュータ市場のシェアは3.2%にすぎず、さらに減少しつつあった。Windowsのソフトウェアを書くという考えはアップルではありえないことだった。

iPod
その時Windowsユーザーだった僕も10年ぶりのApple製品となる第3世代のiPodを購入して以来、iPhone/iPadを買い続けるようになってしまった。その最初のiPodは今でも現役で(もちろんバッテリーはへたってしまい、そのコネクタをサポートするPCもなくなり音楽を更新することができなくなってしまったが)、車のオーディオのCDチェンジャーコネクタに接続されてちょっと古い音楽を鳴らしてくれている。



そう、ジョブズは2007年のマックワールドで"Today Apple is going to reinvent the phone!(今日、Appleは電話を再発明する!)"と言ったが、世界を変える発明はiPodによってなされたと僕は考えている。

Appleは2001年1月9日にサンフランシスコで開催されたマックワールドエキスポで初めてiTunesを発表した。iTunesは2000年にジョブズがCEOに復帰した直後にAppleがその権利を買収したSound Jam MPというソフトを元に、Appleに移籍したその開発者たちが開発したそうだ。このときジョブズは、同時にデジタルハブ構想も発表している。パソコンがさまざまなデジタル機器を相互連携させるためのハブとしての役割を担うことによって、デジタル機器が人々のライフスタイルをもっと楽しく便利にするものになるというものだ。
"Say hello to iPod. 1,000 songs in your pocket."というキャッチコピーで初代iPodが発表されるのはその年の10月23日になる。もちろん、iTunesとデジタルハブ構想を同時に発表したのだから、そのときすでにiPodという新しいデジタル機器のイメージはできていたはずだ。AppleはiTunesの発表の直後に携帯音楽プレーヤーの市場調査を始め、それからiPodの開発に着手したようだ。
そして2年後の2003年に第3世代のiPodとiTunes Music Storeが発表された。それは単なるiPodという携帯音楽プレーヤーとしてだけではなく、それに音楽というデジタルコンテンツの流通メディアとしてのインターネットと、そのコンテンツをiPodに中継するハブとしてのiTunes/PCとが統合された新しいプラットホームの発明の瞬間だった。ジョブズがSound Jam MPを見たときに、どこまでを見通していたのだろうか?

この「まずiTunesがあった」という事実が非常に興味深い。iTunesというPCのソフトウェアからiPodという新しいデジタル機器が生まれ、そこで消費されるコンテンツを供給するメディアとしてiTunes Music Storeが生まれた。段階的に市場に問いかけるように試行錯誤を繰り返して徐々にイノベーションを起こしてゆく。それと同時にユーザー獲得の施策の積み上げをやってゆく過程で、その新しい価値に気付いたユーザーを味方につけ、その勢いを利用して市場拡張をはかり、最初はコンテンツ提供を渋っていたプロバイダー側もその流れに乗らざるを得ない状況がつくられて、そのシステムのプラットホームとしての要件が満たされていった。そしていったん音楽というひとつのジャンルのコンテンツ市場においてユーザーのコミットメントを得てコンバージェンスに成功すると、そこからの拡張はそれまでより格段に容易になる。TechCrunchの記事のインタビューの中でNolan Bushnellが言っている。

"I actually think iPhone was actually an exchange of iPod ecology."

ジョブズが最初に唱えたデジタルハブ構想は、モバイル通信とクラウドというインフラの発展によってデジタル機器とサービス/コンテンツが直接つながり、パソコンによる中継が不要になったことによってモデルが変わった。iPodやiPhoneが扱うコンテンツも多様化し、iTunes Music StoreはiTunes Storeに発展してiCloudという新しいしくみも現れた。いうまでもなく、Appleの収益のほとんどはiPhone/iPad/iPodというハードウェアからもたらされている。Nolan Bushnellは、「Appleは未だにiPodで止まっている」と言っているが、他のものづくり企業を含めてまだまだ世界を変える(再)発明のチャンスは多く残されている。僕は「まずiTunesがあった」から、ということが1つの糸口だと思っている。

冒頭に紹介した本に次のような記述があった。

JON RUBINSTEIN
We argued with Steve a bunch [about putting iTunes on Windows], and he said no. Finally, Phil Schiller and I said "We’re going to do it." And Steve said, "Fuck you guys, do whatever you want. You’re responsible." And he stormed out of the room. 
 
我々は、WindowsにiTunesを提供することについてスティーブと多くの議論をした。そしてついにフィルと私は「我々はやります。」と言った。スティーブは「くそったれ!好きなようにするがいいさ、責任はとれよ!」といって部屋から飛び出していってしまった。

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