デザイン思考で行こう!

Life will find a way, we'll find a way technology lives.

2015年01月

1月28日の日経新聞電子版に次のような見出しの2つの記事が掲載された。
  • アップル純利益38%増、iPhone好調 10〜12月
  • ソニー1000人追加削減 スマホ事業、黒字化めざす
それらの記事によると、2014年の10月から12月( 3ヶ月)のiPhoneの販売台数は7446万台、ソニーの今年度(一年間)のスマートフォンの販売台数の見込みは4100万台だという。あらためてその差の大きさを実感する。2014年の世界のスマートフォンの総販売台数は13億台だったという(IDC)から、ソニーの4100万台という数字は3%程度のシェアだったということになる。これは「撤退」という選択肢が現実味を帯びてくる数字だ。

いつもソニーばかりを引き合いに出して申し訳ないが、ソニーが良くも悪くも日本のコンスーマエレクトロニクス産業を代表するブランドであるということは間違いないだろう。
情報の伝達や記録媒体(メディア)がデジタル化されたことによって、コンスーマエレクトロニクス産業の構造が大きく変化し始めた。その変化のスピードにソニーだけでなく日本のコンスーマエレクトロニクス産業全体が対応できていない。

いま起きている変化は、メディアがインターネットとクラウドに移りつつあるということだ。デジタル時代(過去)の製品は、その変化に対応できずに、インターネットにつながったスマートフォンの一機能やアプリとして呑み込まれてしまった。
iot sift

2001年1月にマックワールドエキスポで初めてiTunesを発表したとき、スチーブ・ジョブズは次のように言った。
“Mac can become the digital hub of our emerging digital lifestyle, adding tremendous value to our other digital devices.”

「Macは、浸透しつつあるデジタルライフスタイルにおけるデジタルハブとなって、いろいろなデジタルデバイスに素晴らしい価値を与えるだろう。」
デジタル時代はパソコンがハブとなり、USBによって接続されたデジタルデバイスの情報やコンテンツを別のデバイスやインターネットと交換していた。 
iot era
IoT時代はクラウドがハブになる。
Wi-Fiや4G/5Gの携帯電話網でインターネットにつながったモノが、APIによってクラウドと情報やコンテンツを交換する。そしてさらにスマートホンや他のクラウドサービス、インターネットにつながった他のモノと、それらの情報やコンテンツをやりとりするようになって「素晴らしい価値」を生み出す。

IoT時代においては、スマートフォンはクラウドの一部とも考えることができる。クラウド上のモノに関連する情報やコンテンツへアクセスするポータル(入り口)、あるいはインターネットにつながったモノに指示を与えるコントローラーがスマートフォンだ。  
ソニーにおけるスマートフォン事業は、IoT時代の携帯ミュージックプレイヤー、デジタルカメラ、テレビを含めたトータルのエレキの事業戦略を考える上で重要なものになるかもしれない。

日本のコンスーマエレクトロニクス産業が、デジタル時代からIoT時代への製品や市場の変化に対応するには、その経営戦略を大幅に見直す必要があると思う。
それらの多くの企業は、J.バーニーのRBV(リソース・ベースト・ビュー)という、技術や人材、あるいはブランドといった経営資源を強化することによって市場での競争優位を得るという考え方を基本にした経営戦略によって勝ち抜いてきた。他社が真似することが困難な差別化技術を磨き、そのための人材を育成し、高品質な製品によってブランドを構築することによって、そのドメインで長期的な繁栄を築くことができると信じてきた。

しかし、 IoT時代にはスピードを重視したダイナミックな新しい経営戦略が必要になる。
コンスーマエレクトロニクス産業の市場における技術の進歩のスピードは劇的に早くなり、競争の環境も非常に流動的になった。練り上げた中期計画に沿って、じっくり技術を育てながら新製品を開発するというスタイルでは勝つことはできない。
そして、IoT時代へ移行するということはメディアが変わるということだ。そこでは産業融合が必ず起きる。これまでの競合企業ではない新しいプレイヤーがその市場に参入し、顧客の価値観が変わってしまうこともある。そのような不確実性が非常に高くなってしまった競争環境において、既存の企業が生き残り勝ち抜いてゆくための新しい経営戦略を、自らの実践を通して確立していかなければならない。


Wedgeのこの特集記事でレポートしたように、シリコンバレーではIoTを前提にしたモノづくりのハードウェア・スタートアップが増え始めている。クラウドファンディングやベンチャーキャピタルなどの「スタートアップのエコシステム」がハードウェア・スタートアップにも対応し始め、世界中から失敗を恐れぬ起業家たちが集まっている。その盛り上がりは、スタートアップ・バブルと呼んでもいいようにも思えるが、多くの失敗の中からIoTの時代の覇者が誕生するかもしれない。

IoT時代は始まったばかりだ。いや、誰かがプロダクトによって、何が IoTなのかを示すまでは始まっていないのかもしれない。まだ誰にでもそのチャンスはある。

記事の更新はTwitter (@kyosukek)でお知らせします。お問い合わせやご相談は、contact に @ibornb.red をつけたアドレスまでメールでお寄せください。
川手恭輔(Internet Born & Bred)
  
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年初にラスベガスで開催された「2015インターナショナルCES」で、日本のメーカーの展示は例年のようにテレビが中心だったようだ。CES全体が家電からIoT(モノのインターネット)にシフトしているなかで、日本メーカーの取り残され感が強く残った。確かに大画面で綺麗な映像を流すデモンストレーションは見栄えがする。しかし、その華やかさとは裏腹にテレビ受像機(以後、テレビ)ビジネスは不振が続いている。4K/8Kなどの高画質化やスマートフォンのOSの導入による多機能化は、縮小する市場でのシェア争いなのか、あるいはテレビ市場の回復拡大を狙ったものなのだろうか。


4K/8Kの番組が始まり、例によって中国や韓国のメーカー主導による低価格化が進めば、4K/8Kのテレビは売れ始めるだろう。しかし、それは故障していないテレビを買い換えるほどのインパクトを市場に与えられるとは思えない。メーカーにとって、さらに厳しい価格競争が待っている。

経営再建中のシャープでは2015年3月期決算で、テレビ事業が100億円の営業赤字になることが報道された。すでに4Kテレビも含めた減産も決定されたようだ。14年3月期はスマートフォン向けなどの液晶パネルの販売が好調で一時的な黒字を達成したが、テレビにしても液晶にしても技術だけに頼ったビジネスは、すぐに中国や韓国の競合メーカーに追いつかれ、コスト競争で負けてしまうという図式に変わりはない。
これは、10年ぶりの黒字化がみえたというソニーのテレビ事業にも言えることだ。構造改革によるコストダウンやバリューチェイン強化も重要だが、高画質や多機能化だけではない新しい顧客価値を創造して市場の拡大をはかる必要があるだろう。

言うまでもなく、テレビはテレビ放送を観るものだった。

そのビジネスモデルのルーツはラジオにある。ラジオがあってもラジオ放送がなければただの箱、ラジオ放送をしてもラジオがなければ意味がない、というニワトリとタマゴの関係から、当初はラジオ受信機のメーカーが放送局を兼業していた。米国のRCAという電機メーカーがNBCという放送会社を分離し、そこからNBCとABCが誕生し放送局とラジオメーカーという役割分担が生まれた。コマーシャルというアイデアによって視聴者に無料で放送するというビジネスモデルが完成し、それが現在の民間の放送局のビジネスモデルになっている。

テレビを売るためにはコンテンツが必要だ。

テレビ(放送)の先進国である米国では、このコマーシャル収入のために「視聴率を稼ぐ」番組づくりによって、ずいぶん昔から現在の日本のテレビ放送のように、その時間帯はどのチャンネルでも同じような番組をやっているという状況になった。それに嫌気がさした人々をターゲットに、いろいろなチャンネルから好きなものが選べる有料のケーブルテレビが広く普及してきた。

地上波放送や衛星放送にしてもケーブルテレビにしても、コンテンツの配信方法は放送(broadcast:広くばらまく)というモデルだ。

しかしこの数年、米国ではNetflixやHuHuといったオンデマンドの動画ストリーミングサービスが台頭してきた。ケーブルテレビは非常に多くの番組を配信するが、人間が一度に視聴できるのは一つの番組だけだ。後で見るために録画をしておいても、見る時間がなくて溜まってしまうことも多いだろう。 そのために月額20ドルから30ドルの月額料金を払っているのが無駄だと感じたり、番組表で見たい番組を探すのが面倒だと感じる人々が、ケーブルテレビとの契約を止めてオンデマンドの動画ストリーミングサービスに移行し始めたようだ。その流れは「コードカット」などと呼ばれる。

これらのストリーミングサービスを視聴するには、インターネットにつながったテレビかゲーム機などの周辺機器が必要になるだけでなく、それらの機器がそれぞれの動画ストリーミングサービスに対応していなければならない。テレビがスマートフォンのOSを導入すれば、視聴者が契約したいサービスの視聴用アプリをダウンロードしてインストールすればよいことになる。


スマートフォンのOSの導入は、テレビ放送を観るテレビや、インターネットを辿るPCやスマートフォンではできない体験を創造するためではないのだろうか。

すでにある動画ストリーミングサービスが視聴できるようになったというだけでは価値がない。「テレビでインターネット」という提案は、これまでに何度も失敗している。「テレビでインターネットが見られたら」と誰もが言うが、実際には誰も見ない。その理由は明白だ。PCやスマートフォン(やタブレット)はインタラクティブなデバイスだ。そのデバイスのために作られたコンテンツを、ユーザーはキーボードやマウスや指で辿っていかなければならない。人々は、その体験をテレビでしようとは思わない。リモコンでチャンネルを選んだら、ソファーに腰掛けて気が向いた時だけ画面を見ればいいものだと思っている。

テレビがテレビ放送を観るものでないとしたら何だろう?

  • 高精細な大型ディスプレイ
  • 居間やベッドルームに据え置かれている
というただの箱だ。この箱に(新たな)価値を与えるためには新しいコンテンツが必要だ。PCやスマートフォンで辿るために作られたコンテンツではない。情報そのものは同じものかもしれないが、この二つの特徴に注目し、新しいコンテンツと、それを楽しむための新しいユーザーインタフェースを作り出さなければならない。iPodもiPhoneも、それぞれクリック・ホイールとタッチUIという画期的なユーザーインタフェースの提供がなければ成功はなかっただろう。過去のインターネットにつながるテレビにあったような、リモコンで操作するための醜いユーザーインタフェースでは話にならない。

さて、ここからは想像力の世界だ。いろいろな人々が自宅の居間でいろいろな時間を過ごしている。大家族だったり、一人暮らしだったり、夫婦ふたりであったり、生まれたばかりの子供がいるかもしれない。年齢や地域なども考えるべきだ。朝起きた時、食事をしている時、家事をしている時、仕事から帰ってきた時、考えられるあらゆる状況にディープダイブする。どんな情報やサービスが必要だろうか。どんなコンテンツを望んでいるだろうか。人々が諦めていること(What)があるはずだ。
そのWhatはどのよう(How)に得ることができるのだろうか。テレビに向かって話せばいいのか、指輪をはめてジェスチャーをすればいいのか。そんな誰でも思いつくようなものではないだろうが、いずれにしてもWhatとHowは同時に考えなければならない。 

新しいテレビと新しいコンテンツはニワトリとタマゴだ。新しいユーザーインタフェースを備えたテレビを作っても、それが普及するまで誰も新しいコンテンツは作ってくれない。有りがちなことは「新しいテレビのためのコンソーシアム」を作って、テレビメーカーとコンテンツプロバイダーが不毛な議論を続けることだ。議論が進めば進むほど、参加企業の利権争いでユーザー価値は失われていく。

最初のラジオのように、一社またはクローズドなグループでEnd to Endの新しい体験を創造するべきだと思う。

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川手恭輔(Internet Born & Bred)
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日本からイノベーティブなプロダクトが生まれなくなってしまった原因が、シリコンバレーのスタートアップやその環境と比較して語られることがある。しかし、戦後の米国の資本主義経済の浮き沈みのなかで生まれてきた人材の流動性や多くのベンチャーキャピタルの存在を羨んでみたところで、一朝一夕にその環境を日本にコピーすることはできないだろう。そして「スタートアップ = イノベーション」ではない。既存の企業でイノベーションを起こそうとするものにとって、スクラッチから始めるスタートアップの活動はあまり参考にはならない。

リーン・イノベーションは、既存の企業でイノベーションを可能にする方法、さらにいえば、コンスーマーエレクトロニクス産業を念頭においた「新しい価値創造」のためのプロセスだ。

「既存の企業でのイノベーション」という表現は曖昧だったかもしれない。デジタル時代になって、特にコンスーマーエレクトロニクス産業の製品のライフサイクルが極端に短くなり、ひとつの事業ドメインにおいてインクリメンタルな技術の進歩による製品開発を繰り返すだけでは、長期的な事業の成長を維持していくことが困難になった。ヽ弯慧な技術を導入して製品をイノベーションするか、⊆社の保有技術を応用した新しい製品によって新しい事業ドメインに進出するか、のいずれかの事業戦略によってイノベーションに挑戦していかなければならない。
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イノベーションのマトリックス(筆者作成)

モノのインターネットは、モノに関連する情報やコンテンツをインターネットで扱うことを可能にした。モノのインターネットによって、それまでになかった新しい顧客価値を提供する画期的(イノベーティブ)な製品を開発するためのひとつの提案が、モノのデジタル・リマスタリングという考え方だ。
  1. モノに関連する情報やコンテンツをインターネットで扱うことによって可能になる「新しいユーザー体験」を描く
  2. バリュープロポジションを定義する
  3. それを実現する製品「ハード」「ソフト」「サービス」を再定義する 
以前の記事で、大企業におけるイノベーションの難しさについてつぎのように書いた。
既存の企業のイノベーションに関して、多くの人々は悲観的だ。その理由については「イノベーションのジレンマ」をはじめとしてすでに多くの分析がなされている。例えば、成功した企業がさらなる成長のために最適化した組織が、病原菌が侵入した時の白血球のように、イノベーションを拒絶し死滅させるといった分析だ。
既存の企業や組織のなかでイノベーションに取り組んでいる、あるいはこれから挑戦しようと考えている人にぜひとも読んで欲しい素晴らしい本がある。

この本には、どんな人が既存の企業におけるイノベーションを可能にするかが書いてある。経営者がシリアル・イノベーターを社員の中に見つけることができたら、その企業のイノベーションは約束されたようなものだ(笑)。成功した企業がさらなる成長のために最適化した組織のなかで、白血球に殺されてしまう病原菌とならずにイノベーションを繰り返し起こしてゆく人をシリアル・イノベーターと呼んでいる。その要約や引用は(きりがなくなるので)しないことにする。翻訳も良いので、集中すれば二三日で読めると思うのでぜひ読んで欲しい。読み終えたときに自分に欠けていた行動を見つけることができたら、あなたは将来のシリアル・イノベーターだ。

リーン・イノベーションという進め方は、そんな「将来のシリアル・イノベーター」にぜひ参考にして欲しい。

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リーン・イノベーションのプロセス例(筆者作成)

これはリーン・スタートアップの考え方あるいは精神を継承したもので、モノのデジタル・リマスタリングによってデザインした「新しい経験価値」を実現するためのプロセスだ。そのデザインを盲信してそのまま時間とお金をかけて作り上げてしまうと痛い目をみるとD.A.ノーマンもエリック・リースも言っているのだ(実は、僕はなんども痛い目を見ている)。しかし、自信満々の「将来のシリアル・イノベーター」は「自分は違う」と思うのではないだろうか。許されるのであれば、何度か痛い目をみたほうがいいのではないかとも思うのだが。

まず1st Stepとして現行の製品とアプリの組み合わせによる価値提案を行ってみる。もちろんそれだけで、いままでになかった新しい価値を実現することはできない。いわば仮説を検証するためのMVPという位置づけだ。モノのデジタル・リマスタリングによって創造しようとする新しい経験価値は、「モノに関連する情報やコンテンツをインターネットで扱うことによって可能になる新しいユーザー体験」であり、それを実現する仕組みとして「ハード」と「ソフト」と「サービス」の役割分担を決めてとりあえずのゴールを描いたものがリーン・イノベーションのプロセスの3rd Stepになる。ここではもっと明確に「新しい製品(モノ)」とWebサービスとアプリとしている。「現行の製品とアプリの組み合わせ」は、1st Stepの実施例の1つにすぎない。End to Endで新しい経験価値を提供するというGoalに向かって、どのようなステップを踏んでいくかという戦略立案もコンセプトデザインの一環に含めるべきだろう。 

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この記事は、2014年5月4日の「リーン・イノベーション」の続きとなる。ずいぶん時間が空いてしまったが、その間に断片的に続きを書いてきた。それらの引用からはじめるが、前回同様に非常に長くなる。
  1. モノに関連する情報やコンテンツをインターネットで扱うことによって可能になる「新しいユーザー体験」を描く
  2. バリュープロポジションを定義する
  3. それを実現する製品「ハード」「ソフト」「サービス」を再定義する 
 この「モノのデジタルリマスタリング」によって新しい経験価値をデザインしたら、そのゴールのためのステップを考える。
まず1st Stepとして現行の製品とアプリの組み合わせによる価値提案を行ってみる。もちろんそれだけで、いままでになかった新しい価値を実現することはできない。いわば仮説を検証するためのMVPという位置づけだ。モノのデジタルリマスタリングによって創造しようとする新しい経験価値は、「モノに関連する情報やコンテンツをインターネットで扱うことによって可能になる新しいユーザー体験」であり、それを実現する仕組みとして「ハード」と「ソフト」と「サービス」の役割分担を決めてとりあえずのゴールを描いたものがリーン・イノベーションのプロセスの3rd Stepになる。ここではもっと明確に「新しい製品(モノ)」とWebサービスとアプリとしている。すでにアプリはモバイルファーストで考えるべき時代になっているだろう。「現行の製品とアプリの組み合わせ」は1つの実施例にすぎない。End to Endで新しい経験価値を提供するというGoalに向かって、どのようなステップを踏んでいくかという戦略立案もコンセプトデザインの一環に含めるべきだ。 
「リーン・イノベーション」ではiPodを例にとって説明したが、その場合の Webサービスは、iTunes Music Storeであり、2nd StepはiPod(新しい製品)とiTunes(アプリ)であった。iTunes Music Store(Webサービス)は3rd Stepで登場しEnd to Endのデザインが完成した。
Appleが2nd StepでiPodを発売した意味は2つあると思う。
まず、iTunesというMacのアプリケーションによって、コンピュータ上で音楽を管理するという新しい考え方を市場に提案しその理解を得て、次にそのiTunesと一体化したiPodによって携帯ミュージックプレイヤー市場に参入するというシナリオは自然だ。
そして、それまで音楽のインターネットでの販売と配信に抵抗していたコンテンツホルダーも、iPodによってユーザーを味方に付けたAppleについていくしかなくなるという流れをつくり、End to Endのもう一方にあるiTunes Music Storeの構築に成功した。
 iPodのモデルの場合、「新しい製品」よりも「Webサービス」のほうが製品化の難易度やリスクが大きかった。

では、過去の成功モデルを分析した後付けの理屈ではなく、1st Stepや2nd Stepで「仮説を検証するためのプロダクト」として何をつくり、どのように検証するかについて、次の課題を例にして具体的に考えてみる。
いま、あなたの顧客はiTunesからダウンロードした音楽をiPhoneのアプリで聴いていたり、Walkmanにストリーミングされる音楽を楽しんでいるかもしれない。あるいは、 大きな手間とお金を払ってハイレゾの音楽にアーリーアダプトしているかもしれない。
彼らが諦めていることが理解できるだろうか。 (前回記事より)
WalkmanやiPodを再発明してみようということだ。

いま、音楽を聴こうとするとき、まずWalkmanやiPodやiPhone(アプリ)などのデバイスで曲やプレイリストなどを選ぶ必要がある。そしてBluetoothという選択もあるが、多くの場合はヘッドホンやイヤホンを、そういったデバイスとケーブルで繋げなければならない。プレイリストなどを作成してカスタマイズすると、そこに新しい曲を追加したり、あとで編集し直したくなったときのメンテナンスが面倒になる。
「彼らが諦めていること」あるいは自分が諦めていることはいろいろ考えることができる。
すでに、AppleがBeats(Beats ElectronicsとBeats Music)を買収したという発表があったときに書いた「僕がTim Cookだったら...」で次のようなアイデアを提案した。残念ながらAppleやソニーから声がかかることはなかったが(笑)。
ヘッドホンやイヤホンに音楽が直接ストリーミングされたらどうだろうか。
すでに世界中の携帯キャリアに大きな影響力を持っているAppleであれば、ストリーミング受信のためにヘッドホンやイヤホンをインターネットに4Gや5Gで常時接続させる新たなビジネスモデルをつくることはさほど難しいことではない。世の中がモノのインターネット(IoT)とは何かなどと騒いでいるうちにさらっとやってしまう。もちろんAmazonのKindle Paperwhite 3Gのようにユーザーに通信料金を意識させないようにするだろう。

ヘッドホンやイヤホンが別に必要になる携帯ミュージックプレイヤーではなく、ランニングやいろいろなシーンに合わせた新しい音楽視聴デバイスをいくつも考えることができる。それによって汎用のデバイスであるiPhoneでは叶わない新しいユーザー体験を描くことができる。
聴きたい音楽のジャンルの指定やプレイリスト作成のためのコンテキストの入力などを行う手段としてモバイルのアプリが必要かもしれないが、その程度であればPCやモバイルからアクセスできるWebページやWebアプリでも十分だろう。あるいは音声のインタフェースで音楽をシャッフルしたり、ロケーション情報などによって自動選曲することなども簡単なことだ。提供価値が明確なアイデアが無限に広がる。ヘッドホンやイヤホンは元々ウェアラブルだからあらためてウェアラブルナントカなどとダサいカテゴリーをつくる必要もない。Appleはクールな名前をつけ、それが新しいデバイスのカテゴリーを指すものとなるだろう。
このモデルのプロダクトは、新しいヘッドホン(ハード)とストリーミングサービスだ。
goal
ヘッドホンが赤いのは「新しいヘッドホン」を表しているだけでBeatsのヘッドホンを意識しているわけではない(笑)。ヘッドホンを着けるだけで聴きたい曲や「この曲いいな」と思う曲が流れてくる。他に余計なデバイスや面倒な作業はいらない。そんな新しい体験を提供するためにいくつかの課題を解決しなければならないが、なかでも次の2つは重要なものだろう。
  • ヘッドホンの画期的なユーザーインターフェース
  • ユーザーが聴きたいであろう曲を配信する
「iPodに1000曲が入る」ことを顧客価値にするためには、クリックホイールという画期的なユーザーインターフェースの提供が必須だった。聴いている音楽を変更するための「画期的なユーザーインターフェース」を、新しいヘッドホンに実装しなければならない。そして、そのユーザーの変更の操作や視聴の履歴などを学習し、好みの曲の傾向、そして曲を変更した時の状況を分析して、ヘッドホンに「ユーザーが聴きたいであろう曲を配信する」アルゴリズムを考える。
 
このビジネスモデルの最大の収益源はハードウェアの販売だ。そのハードウェアは最初はヘッドホンのようなものかもしれないが、「ランニングやいろいろなシーンに合わせた新しい音楽視聴デバイス」を考案して、複数のデバイスの購入(買い増し)を提案してゆく。家や車内での視聴もターゲットだ。もちろん、音楽のストリーミング配信のサブスクリプション、すなわち聴き放題の視聴料金も収益となるが、そちらのほうはあまり多くを期待できない。
 
このEnd to Endのサービスを提供できる企業として、まず考えられるのはAppleとソニーだろう。サブスクリプション型の音楽ストリーミングサービスで世界最大のSpotifyがハードウェアビジネスに参入するというシナリオも考えられる。Spotifyは2013年の売り上げが10億ドルを超えているが、まだ黒字化ができていない。有料会員への課金以外に広告収入もあるものの、その割合は非常に小さい。ヘッドホンのメーカーを買収して、ハードウェアビジネスへ転換するのも面白いのではないかと思う。すでにアクティブユーザー数が5,000万人、有料会員数が1,250万人に達しているSpotifyは、少なくとも1st Stepは有利に展開することができる。
 
ゴールに向けての1st Stepを、まず「ユーザーが聴きたいであろう曲を配信する」サービスをスマートフォンのアプリとして提供することから始めてみよう。

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1st Step

ユーザーは最初、好きなアーティストあるいはあらかじめ提供されているジャンルやプレイリストなどを選択して聴き始める。そして、その時の気分で曲を変更する。すでにスマートフォンの音楽アプリで提供している機能だが、このアプリケーションはそれらの操作を収集しクラウドに送って分析する。そのユーザーは何故、そのような変更と選択をしたのか。その理由を知るための、A/Bテストのような仕掛けを仕込んだ新たなプレイリストをストリーミングサービスで提案してみる。きっと曲やアーティストの好みだけでなく、ユーザーのその時の気分や、場所、季節、時間などの状況なども大きく影響するだろう。それをどのように検知し分析に役立てて学習するか。協調フィルタリングを超える「ユーザーが聴きたいであろう曲を配信する」アルゴリズムができるのではないかと思う。

AppleがBeatsを買収したというニュースに接したとき、AppleはBeatsのDr.DreとJimmy lovineという音楽というドメインのエキスパートを獲得して、このような研究・開発しようとしているんじゃないかと考え(すぎ)た。
システムが学習を重ね、そのユーザーの状況に応じて配信される曲をユーザーが心地よく感じるようになる。その新しい体験が、そのユーザーの音楽生活になくてはならない"must haveな"ものになると、他の音楽配信サービスに乗り換えることが難しくなる、すなわちスイッチングコストが高くなる。サブスクリプション型のビジネスモデルにおいて、それは重要なポイントだ。

1st Stepでは、ユーザーはスマートフォンのアプリケーションで曲の選択や変更の操作をする。この操作は、ゴールではヘッドホンのユーザーインタフェースで行わなければならないことを前提にしてシンプルにする必要があるが、同時にこの操作の情報を分析することによって「ユーザーが聴きたいであろう曲を配信する」アルゴリズムの精度を高めていくということを考慮しなければならない。曲のスキップやアーティストやジャンルの変更、プレイリストの選択などのほかに、「これは好き」とか「また聴きたい」というようなものまで必要かもしれない。

2nd Stepでは、 1st Stepでスマートフォンのアプリケーションに実装した曲の選択や変更の操作を「ヘッドホンの画期的なユーザーインターフェース」で実現する。この段階になるとヘッドホンとスマートフォンの両方のハードウェアをもっている Appleとソニーが断然有利になってくる。
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2nd Step

ヘッドホンの基本的な機能については従来の製品と同じでいいだろう。例えば、ヘッドホンのハウジング部分を指でタッチしたりジェスチャーしたりするインターフェースが考えられる。せっかく頭に装着しているのであるから、脳波によって操作するということにもチャレンジしてみるべきだ。

そういった操作をスマートフォンのアプリケーションに伝達するには、BluetoothのA2DP/AVRCPプロファイルで可能なのだろうか。ケーブルで接続する場合は、ケーブルやスマートフォン本体のハードウェアを変更する必要があるかもしれない。

この例の場合、2nd Stepが非常に重要になる。基本的なユーザー体験は2nd Stepで実現できている。

  • ヘッドホンの画期的なユーザーインターフェース
  • ユーザーが聴きたいであろう曲を配信する

  • この段階でユーザーの支持を得られなければ次に進めない。リーンというアプローチは、すべてを作り込んでから製品化するというこれまでの事前設計主義的なアプローチを変革しようとするものだ。それは必ずしも開発期間の短縮を目的とするものではない。ここでプロダクト・マーケット・フィッティングに十分な時間を費やす必要がある。

    2nd Stepのプロダクトでユーザーの支持を得られたならば、いよいよ「我々は Walkmanを再発明する」というメッセージとともに新しいヘッドホンを発表する。そのデザイン(外形)もあっと驚くようなものであってほしい。意地でも「iPodを再発明」とは言わないだろうが、仇討ちのように意気込まずにクールにやってほしい(笑)。
    step3
    3rd Step

    新しいヘッドホンは、4Gあるいは5Gのモバイル通信をサポートする。通信料金は音楽のストリーミング視聴のサブスクリプションに含めなければならない。「それだったらスマートフォンで聴いた方がいい」というような価格では意味がない。最初は一社のモバイルキャリアとMVNO契約をすることになるだろうが、ユーザーの支持をレバレッジにして戦略的な価格を引き出してほしい。

    そのころには人々は皆、スマートフォンを持っているだろうが、新しいヘッドホンで音楽を聴くときにはスマートフォンは必要ない(初期設定などの補助操作に必要になるかもしれないが)。皆が持っているんならスマートフォンで聴けばいいじゃないかと考えるかもしれない。その新しい体験が提供する価値を想像できなければイノベーションは始まらない。3rd Stepはゴールではなく、イノベーションのためのスタートだ。
    一度(か二度)成功した企業のイノベーションにおいて、他者に対するアドバンテージと考えていいものは体力(お金)だけだ。保有技術や生産システムそして販売チャネルは、イノベーションにとっては焦げ付き資産になるかもしれない。しかし、市場にイノベーションを起こすようなモノが市場に受け入れられるには三年はかかる。これはスタートアップにはとても耐えられない。他者に投資を請うことなく、ふんだんにイノベーションに投資することができる。株主を説得できるか、そしてその意思の上にも三年だ。(過去記事より)
    この「新しいヘッドホン」は、リーン・イノベーションのステップを説明するためのひとつの例にすぎないということを再度お断りしておく。もちろん、僕が欲しいもの"my itch"ではあるが。

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    1月7日にパナソニックが発表した「米ディーバ社とデジタルカメラの通信機能の拡充に向け提携」というプレスリリースを見たとき、「カメラを再発明しよう」で書いた潜在的なニーズを 解決するものかもしれないと少し期待をした。
    人々は人生の記録のための包括的なソリューションを求めている。
    前回の記事でも次のように書いた。
    いま、あなたの顧客はスマートフォンのカメラで撮った写真をInstagramで共有したり、仲の良い友達とのセルフィー(自撮り写真)を楽しんでいるかもしれない。あるいは、デジタル一眼レフカメラで家族や友人の結婚式で数百枚の写真を撮っているかもしれない。
    彼らが諦めていることが理解できるだろうか。
    しかし残念なことに、それは「カメラの再発明」ではなかった。

    プレスリリースでは、クラウドをどのように利用するかがわからなかったが、産経WESTの記事によると、ユニークな画像を発信したい投稿愛好者にとっては、スマホのカメラは機能不足で、高性能のデジカメで撮影した写真を自宅のパソコンの画像処理ソフトを使って修整・加工してから、SNSにアップするケースも多いということに着目したソリューションのようだ。パソコンの画像処理ソフトを使わなければならなかったことを、写真を撮った後にカメラでやってしまおうという発想だ。そして、カメラのパワーでは難しいのか、パナソニックに画像処理のノウハウがないのか、それをディーパ社のクラウドの力を借りてやろうということらしい。せっかくLTEをサポートし文字通り(常時)インターネットにつながったデジカメができることは、写真を撮って修正・加工してからSNSにアップするというスマートフォンと同じでしかない。少しスマートフォンを意識しすぎている。カメラの価値は他にあるはずだ。

    ユニークな画像を発信したい投稿愛好者は高性能のデジカメで撮影するといっておきながら、このソリューションで提供されるDMC-CM1は、1インチセンサーとf/2.8、28mm相当の単焦点レンズというかなりユーザーが限られるスペックのいわゆる高級コンパクトというジャンルに分類されるデジカメだ。ターゲットはミラーレスを含むレンズが交換可能なデジタル一眼レフのユーザーではないのだろうか。彼らはカメラに強いこだわりをもっている。解決しようとする問題と解決策が矛盾しているように思う。スマートフォンのカメラも高性能になってきており、この程度のスペックであれば、わざわざSNS投稿のために別途購入しようとは思わないだろう。

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    DMC-CM1(出展:パナソニックの発表資料)

    海外で入手した友人にDMC-CM1を見せてもらったことがあるが、カメラでの画像操作はあまり快適とはいえなかった。画像をクラウドに送って修正や加工をするとなると、カメラ内のアプリかHTML5などを利用したWebアプリで操作することになると思うが、はたして新しいユーザー体験を提供できるのだろうか。

    パナソニックのカメラ事業は2013年から営業赤字が続いている。デジカメの生産の大半を中国に移して、国内生産を大幅に縮小するという報道もあった。デジカメの市場が急速に縮小する中で、「カメラの再発明」をしない限りは半数以上の既存のデジカメメーカーは市場からの撤退をよぎなくされるだろう。カメラの再発明といっても、まったく新しい技術が必須というわけではないだろう。パナソニックが持つ技術を応用すれば十分に可能だと思う。パナソニックが最も自信を持っているデジカメをベースにリーン・イノベーションに取り組めばいい。しかし、パナソニックだけでなく、日本のコンスーマエレクトロニクス産業は、サービスやアプリケーションの企画・推進力が致命的に弱いように思う。人材の問題ではなく、そういった企画を評価し推進するしくみがないのだろうと思う。
    人々は人生の記録のための包括的なソリューションを求めている。
    なんども繰り返すが、カメラメーカーにはこの潜在的なニーズに注目してもらいたい。

     川手恭輔(Internet Born & Bred)
     
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    いま、あなたの顧客が諦めていることは2020年には完全に解決できている。

    いま、2015年に、それを完全に解決することはできないかもしれないが、2020年までに解決できたときの人々の体験を想像することができれば、あなたが今年すべきことがわかる。2020年には誰でもがスマートフォンなどのポータル(入り口になる)デバイスを持ち、モバイル通信のスピードやコストの劇的な進化によって、クラウドは手元のコンピュータやメモリーと同じように考えられるようになっている。技術の進歩はインクリメンタルであるかもしれないが、それがあるレベルを超えたとき、そのアプリケーション(応用)であるハードウェアやサービスはラディカルなものになり得る。センサー技術やインターフェース技術の進歩のスピードは非常にはやい。その進歩を見越したアプリケーションを発想して構わない。

    いま、あなたの顧客はiTunesからダウンロードした音楽をiPhoneのアプリで聴いていたり、Walkmanにストリーミングされる音楽を楽しんでいるかもしれない。あるいは、 大きな手間とお金を払ってハイレゾの音楽にアーリーアダプトしているかもしれない。
    彼らが諦めていることが理解できるだろうか。

    いま、あなたの顧客はスマートフォンのカメラで撮った写真をInstagramで共有したり、仲の良い友達とのセルフィー(自撮り写真)を楽しんでいるかもしれない。あるいは、デジタル一眼レフカメラで家族や友人の結婚式で数百枚の写真を撮っているかもしれない。
    彼らが諦めていることが理解できるだろうか。

    いま、携帯ミュージックプレイヤーやカメラは、スマートフォンの機能の一部となってしまいつつある。もしあなたが彼らが諦めていることを理解したとき、それを解決するために新しい携帯ミュージックプレイヤーやカメラを再発明することが必要になるかもしれない。僕は必要になると考えている。

    あなたの顧客が諦めていることは、実はあなたが見て見ぬ振りをしていることだ。携帯ミュージックプレイヤーやカメラのメーカーで企画や開発に従事しているあなたは、あなたの顧客でもあるはずだ。普段は一般の人々のように携帯ミュージックプレイヤーやカメラを使い、楽しみ、そしてちょっと不便さや面倒臭さを感じている。そして他の人々のように、それを仕方がないこととして諦めている。それどころか自分たちがつくったものであると、その不便さや面倒臭さを無意識のうちに避けた使い方をしてしまう。いまの技術やコストや、そして組織ではとうてい解決できないものとはじめから結論づけて、その問題を見て見ぬ振りをしている。次の製品で解決できないことに関わっている暇はないと。いつのまにか、あなたはあなたの顧客ではなくなってしまっているのではないだろうか。

    もちろん、これは携帯ミュージックプレイヤーやカメラに限ったことではない。しかし「自分がほんとうに欲しいものを作る"Scratch your own itch!"」とすると、僕はどうしてもこの2つを論じることになってしまう。そして、この2つを再発明したときに期待できる市場の規模や、世界に与えるインパクトの大きさにも魅力がある。携帯ミュージックプレイヤーはコンテンツの消費デバイス、カメラはコンテンツを生成するデバイスという対照も、この2つを並行して考えるときの面白さでもある。

    2020年にも、あなたの顧客が諦めていることがあるはずだが、いまはそれを気にする必要はない。

    2015年元旦

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    川手恭輔(Internet Born & Bred)
     
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