デザイン思考で行こう!

Life will find a way, we'll find a way technology lives.

2015年11月

月刊誌Wedge(ウェッジ)の取材で、日本通信の福田社長とソラコムの玉川社長にインタビューをさせていただいた。

折しも、ヒトとモノがつながるもう一つのIoTで紹介したように「IoT推進コンソーシアム」が発足したり、総務省の「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース(Wedge Infinityの記事)」で、スマートフォンの料金をめぐって官民(実際には民のキャリアとMVNO)の議論が繰り広げられているという時に、日本の製造業の再生の鍵となるであろうIoTを可能にするモバイル通信プラットフォームを提供するMVNOの、老舗フロンティアと新進のスタートアップという対比でお話をお伺いし、取材であることを忘れて時間を楽しんでしまった。iPhoneで録音したインタビューを仕事場の行き帰りに、PANDRAで聴く音楽の代わりに繰り返し楽しんで聞いている。iPhoneの録音を見ると、福田社長とのお話は予定の1時間の倍以上の時間の記録が残っている。

月刊誌の限られた紙面では、とても書ききれない内容なので、このブログやWedge Infinityで書き足していこうと思う。

そして今日は、早稲田大学理工学部で友人の講師の代講をする機会をいただいた。「スマホエコノミーとモノのインターネット(資料はこちら)」という講義の後、「どんなモノがヒトとつながると、どんな価値が生まれるか」というグループ討議をしてもらった。理工学部といっても、まだ一年生で専攻も様々だったが、出てきたアイデアは、長年「創る側」にいる身にとっては新鮮なものだった。

講義終了後に、挨拶に来てくれた化学専攻の学生から「いろいろなモノがインターネットにつながった10年後、20年後の世界はどうなっていると思いますか?」という質問をされた。おっと、そこまでは考えていなかった。その場は何かを言って上手く切り抜けたが、自分もまだまだ考えが足りないと汗をかいた次第だ。

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前回「モバイルによる我が国創生」で次のように書いた。
IoTの時代の勝者は端末を提供する者ではなく、新たなプラットフォーマーに違いない。

ここでの問題提起は、自分なりの答えを考えた上でするようにしているが、このコンスーマIoTのためのモバイル通信プラットフォーマーは、そのモデルや誰がなすべきかについては、まだあやふやで答え(提案)を用意できていない。 
その一つの可能性を穿って*みた。

IoTもアップルが制するのか?Apple Watchの真の狙い(Wedge Infinity)

* 蛇足(文化庁 平成23年度「国語に関する世論調査」)
「うがった見方をする」はどちらの意味か? 
(ア)物事の本質を捉えた見方をする 26.4% 
(イ)疑って掛かるような見方をする 48.2% 

正解は(ア)だが、記事を読んでどう感じるかはご自由。

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IoTのためのモバイル通信サービスは誰が提供するのか?

今後、一般消費者が購入するスマートフォン以外の製品(モノ)もインターネットにつながり、クラウド上のサービスと連携することによって、人々に新しい価値を提供するようになるだろう。しかし、そのためのモバイル通信サービスはまだない。それは技術的な障害があるからではない。

例えば、身の回りのいろいろな製品がIoT化されていくと、それぞれの通信料金はどのようになるだろうか。IoT製品ごとに、スマートフォンと同じような契約が必要になるとしたらとても面倒だ。昨年10月にApple SIMが付属したiPadを発売したAppleや、Project FiというMVNO事業を始めたGoogleは、そのような世界において、通信レイヤーを人々に意識させない(隠蔽する)ことを考えているのではないだろうか。

モバイル通信レイヤーのプラットフォーマーとして、腕時計やメガネや鍵や自転車などのIoTに、誰が新しいNVNOを提供するのか。

「モバイルによる我が国創生」格安SIMは本命ではない(Wedge Infinity)
 
IoTというと、モノ(端末)の議論ばかりになりがちで、それは目に見えるものでメディア受けもいい。しかし、IoTの時代の勝者は端末を提供する者ではなく、新たなプラットフォーマーに違いない。

ここでの問題提起は、自分なりの答えを考えた上でするようにしているが、このコンスーマIoTのためのモバイル通信プラットフォーマーは、そのモデルや誰がなすべきかについては、まだあやふやで答え(提案)を用意できていない。 

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少し前の週末に、下田に鰻を食べに出かけた。

30年ぐらい前から夏になって鰻といえば、ここに通った。直木賞作家の高橋治氏の「片意地へんくつ一本気」という作品に出てくる、土用の丑の日には休むという鰻屋だ。通い始めたころは、確かテーブルが3つと、小上がりに4人が座れる卓が1つの小さな古い店だった。亭主はずっと背を向けて仕事をしており、帰り際に「ごちそうさま、おいしかったです」と言うと、振り返った笑顔で「お待たせしました、ありがとうございました」と返事をしてくれた。無口だが、物語に出てくるような偏屈な印象を受けたことはなかった。そのうち、少し会話をするようになり、息子さんが外で修行をしているという話を聞いた。

ある年の、やはり夏のある日、亭主が店の前で掃除をしていた。挨拶をして中に入ると、調理場では若い男の人が仕事をしている。修行をしていた息子さんが帰ってきていた。なんとなく鰻の味が変わったような気がした。帰る時に、店の外で「息子さんと一緒に仕事ができるようになってよかったですね」と声をかけると、「いゃあ、口を出すと喧嘩になるから、俺はもう引退だよ」と嬉しそうだが寂しそうに笑っていた。

次の夏に行った時、やはり味が変わったような気がした。ご飯もちょっと柔らかすぎるように思えた。店は建て替えられて広く綺麗になっていた。それからしばらくの間、箱根風祭の友栄や湯本の芦柳庵の鰻などと浮気をしていた。

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何年か振りに食べる下田の鰻は美味しかった。先代の味を明確に覚えているわけではないが、きっとこんな味だったと思えた。先代は相変わらず外で植え込みの手入れをしていた。「ありがとうございました」と言う笑顔が懐かしかった。

下田からの帰り道、天城峠を越えた頃にコーヒーが飲みたくなった。そこでSiriに聞いてみることにした。

「Hey Siri, 近くのカフェ」

シガーソケット(電源)につながったiPhoneは「Hey Siri」と言えば起動する。Siriは「東府や(とうふや)Bakery&Table」というカフェを紹介してくれた。

「Hey Siri, ここから東府やBakery&Tableまでの道順」

そのままマップアプリが起動されてナビゲーションをしてくれる。しかし、それまでYahoo! カーナビで道案内をしてもらっていた。

3月にそれまで使っていた有料のカーナビアプリの年間利用の更新時期が来て、ちょっと使ってみようと思ったYahoo! カーナビがなかなかよくできていて、そのまま使い続けている。かなりの頻度でアプリが更新されて新しい機能が追加されるが、無料のアプリにもかかわらず、渋滞や交通規制情報をリアルタイムで受診するVICSをサポートしていることが使い続けている大きな理由だ。

しかしSiriは、iPhoneの標準アプリのマップを起動する。

「Hey Siri, Yahoo! カーナビ終了」

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もちろん、Siriに対応していないアプリを強制終了する仕組みがないだけで、アップルの手先としてこちらの指示を無視したわけではないだろう。一旦停車して手動でYahoo! カーナビを終了して、そのままマップアプリに目的地まで案内してもらった。

カフェでコーヒーが飲みたかったはずなのに、カレーパンに合いそうな懐かしい瓶の牛乳を見つけて、うっかりレジに持って行ってしまった。

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足湯に浸かりながらパンを食べることができるBakery&Tableというカフェは、芦ノ湖畔にもある。パンを食べながら調べてみると、伊豆最古の温泉地で江戸時代から続いていた吉奈川沿いの老舗旅館や周辺の土地などを、赤倉観光ホテルを経営する会社が買収して、宿泊施設や食事処を備えたリゾートとして再開発したようだ。最近流行りのパターンで、やはり積極的な投資が客を呼ぶ。
 
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実は、このときSiriを初めて使った。設定をして試しに会話をしてみたことはあるが、実際に使ってみようと思う状況がなかった。何を今更ではあるが、このような状況ではすごく便利だと思った。しかし、その後の週末に車で出かけたとき、Siriに話しかけたことはない。道案内が必要ないときも、渋滞情報を知るためにYahoo! カーナビの地図を表示している。

iPhone6から6sに変えてから一ヶ月が経ったが、新しい機能はまったく使っていない。それどころかアイコンを強く押す3D Touchぐらいしか、新しい機能を覚えてすらいない。iPhoneはいろいろなことができるようになった。ただし、それを理解して使いこなさなければいけない。今は、そんなものがあふれていて、使い続けることどころか、それを覚えていることすら難しい。

「あれば便利なもの」が「なくてはならないもの」になる競争は厳しくなる一方だ。下田の鰻は、やはり「なくてはならない」ものだったようだ。

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