デザイン思考で行こう!

Life will find a way, we'll find a way technology lives.

2016年12月

第3四半期の決算の数値や第4四半期の見通しがアナリストの予測を下回ったために、フィットビットやその市場自体の成長を危ぶむ声も出始めているが、それはいささか早計のように思う。
anzof
 
企業の成長戦略で「市場浸透」「市場開拓」「製品開発」の3つは、(事業の)拡大化戦略と呼ばれている。フィットビットの売り上げの72%が米国市場におけるものであることを見れば、次に取り組むべきは海外の「市場開拓」であることは間違いない。

日本の健康管理への意欲を語るFitbit(Wedge Infinity)

 

5月16日付けの米ワシントンポストは、米国の大手弁護士事務所で、破産関連の業務をアシストするロボット(AI)弁護士が採用されたと報じた。IBMのWatsonという技術を利用してROSSインテリジェンスが開発したROSSというAIは、(もちろん弁護士資格を持つ訳ではないが)経験の浅い弁護士が担当していた仕事を担当することになるという。

日本の弁護士の仕事がコンピュータに奪われることは(しばらくの間は)なさそうだ。しかし、AIを育てて使いこなすことができる弁護士と、そのようなAIの指示を受けて働く弁護士に二極化していくだろう。

Wedge Infinity連載コラム(AIはシンギュラリティの夢を見るか?)
「AI時代の弁護士の姿」

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先日、AIベンチャーの方と「日本の製造業にとってAIとは何なのか?」それを考えるには「では、インターネットとは何だったのか?」ということを整理しておく必要があるというような会話をしました。製造業における日常的な業務の効率化や、工場の生産性の向上などの内側の話ではなく、一般消費者向けの製品をつくる(開発する)製造業が提供する価値についての話です。

以下、引用は過去に書いたものです。
コンテンツや情報がデジタル化され、それを記録したり保存したり伝達したりするメディア(媒体)が変化するとき、その対応に遅れをとった企業が衰退したり、新たなプレイヤーがその市場に参入したりする状況をデジタルコンバージェンス(産業融合)あるいはメディアコンバージェンスと言います。そのとき、その市場に破壊的なイノベーションが起こることがあり、それはデジタルディスラプション(創造のための破壊)と呼ばれています。

いったんディスラプションが起きた市場は流動的になり、さらなる変化を起こしやすくなります。技術やインフラの革新が継続的に起きるようなるため参入障壁も低くなり、以前のように安定したバリューネットワークを構築し維持することが難しくなります。
かつてデジタルカメラがフィルムカメラに取って代わり、 iPodがそれまでの携帯音楽プレーヤーを過去のものにし、そしてそのデジタルカメラやiPodを、iPhoneがアプリケーションとして飲み込んでしまいました。これらはメディアがアナログからデジタル、さらにネットワークに変化することによって起きたディスラプションです。動画や書籍やコミュニケーションに関するサービスや製品にも大きな変化をもたらしました。

コンテンツや情報をインターネットで扱うことによって可能になる「新しいユーザー体験」は「ハード」だけで実現することは不可能でした。そのためには「ソフト」との役割分担によって、製品を再定義する必要がありました。しかし多くの日本の製造業においては、その「ソフト」の力は「ハード」に比べることもできないほど非力です。さらにソフトといえば、ハードを補助するファームウェアと呼ばれる制御用のプログラム開発部門しか存在しないこともあります。パソコンやスマートフォン、そしてインターネットのサーバー上のアプリケーションソフトウェアの開発は外部に委託するという企業がほとんどではないでしょうか。 さすがに、いまどき「ソフトは虚業だ」とうそぶく企業トップはいないとは思いますが。
音楽、写真、映像などのコンスーマエレクトロニクスの市場で起こった最初のデジタルコンバージェンスに対応し生き残ることができた日本の製造業は、そのステージにおける競争環境がアナログ時代と同様に安定したものであり、そこで長期的な競争優位を築けるものだと考えてしまった。そしてバリューチェーンから得られる利益を最大化するための垂直統合をすすめ、特に調達購買、生産、流通といったスマイルカーブの最も落ち込んだ部分に多大の投資を行った。

バリューチェーンとはバケツリレーのように製品に価値を付加していくモデルだ。しかしデジタルコンバージェンスの時代には、iPhoneの例のように、メーカーが提供する最終製品だけでは顧客価値を実現することはできない。コンテンツやサービスが組み合わされて初めて価値が実現できる。その実現のしくみはバケツリレーではなく、多くの点と点を結んだネットワークのようなイメージになる。そのネットワークの中で、どの点(ノード)に経営資源を集中するか、そして変化に応じて他者のノードとのダイナミックな接続・切断をどのように行うかということがデジタルコンバージェンスの時代に重要な競争戦略となる。

日本の製造業の構造改革の多くは、そのバリューチェーンのフレームワーク自体には手をつけずに、そこから利益を絞り出すために、規模の縮小や徹底的な無駄の排除を行うものだ。その結果、たとえ製品の販売数量は増えなくても利益率は向上する。円安効果もあって目先の業績は回復し、経営陣が胸を張ることはできる。しかし、目先の利益に最適化した柔軟性のないバリューチェーンでは、次の変化に対応することはできない。
インターネットというメディアによって、コンテンツや情報が、流動的になり、ダイナミックな拡散や集中が起こるようになり、その生産や消費のスタイルが大きく変化しました。AIはメディアではありません。(例えば)インターネットで流通するコンテンツや情報と、それらがインターネットで生産され消費され拡散され集中する状況を学習することによって、AIはこれまで人が行なっていた認知、判断、実行という処理を代行することができるようになります。人と、製品やサービスとのインターフェースが変化するはずです。インターフェース自体の変化だけでなく、インターフェース(境界)が人の方に近づくということです。

インターネットのように、AIが「日本の製造業に破壊的な変化をもたらすのか」という疑問があるかもしれません。しかし「そんなことはないだろう」と安穏としているよりは「もしかすると...」さらに「自ら破壊的な変化を起こしてやろう」と考えるべきではないでしょうか。今のAIは、私が関わり始めた20〜15年ぐらい前のインターネットと同じような状況のように感じます。変化のスピードは加速しているので、AIが起こす(ならば)ディスラプションには10年もかからないでしょう。  

AIベンチャーの方は、日本の製造業におけるデジタル人材の人口ピラミッドに問題があると指摘しました。AI時代に「新しいユーザー体験」を創り出すことができるソフトウェアに長けたデジタル人材の人口ピラミッドは20代に大きく偏っている。そして次の戦略の決定権を持っているのは、日本の人口ピラミッドで幅をきかせる第二次ベビーブームの、インターネット時代に辛うじて生き残った過去のバリューチェーンを守ろうとしている40代50代です。このギャップをどのように埋めていくかが大きな問題だというのです。

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