デザイン思考で行こう!

Life will find a way, we'll find a way technology lives.

2017年12月

経済産業省が推進するスマートホームでは、「ユーザーはスマートスピーカーなどを使って、音声でクラウド上の音声アシスタントに家電の操作を指示し」「音声アシスタントは、それを家電メーカーのサービスクラウドに伝え」「サービスクラウドが家庭内の機器を操作する」という流れになっています。それを図にすると、家電メーカーにとって残念な三つのことが見えてきます。
  1. 残念ながら他社との差別化はできない
  2. 残念ながら重要なデータは蓄積できない
  3. 残念ながらプラットフォームは押さえられない
しかし
  • アシスタントには限界がある
  • だから家電がユーザーと会話すれは良い
という提案です。

家電を賢くするには? → Wedge Infinity

本年の更新はこれまでになります。

発売中の月刊Wedge 1月号の特集「ものづくりの未来」では「日本の製造業に欠けていた新しい価値の創造」を担当しました。次号では、深セン取材を元に続編を書く予定です。

では、みなさま、良いお年を
川手恭輔


Wedge 1月号の「ものづくりの未来」という特集の中で「サービス起点でハードウェアを再定義する」ということを提案しました。これまでにもカメラやテレビなどの再発明、再定義について考えて来ましたが、「サービス起点でハードウェアを再定義する」ことについて、カメラを例に説明します。

カメラがデジタル化されても、私たち、一般の生活者が写真を撮る目的に大きな変化はありませんでした。家族や旅行やイベントの写真、そして趣味で写真を撮って、それを保存してプライベートな共有をしています。
カメラのデジタル化は、私たちに「手軽に写真を撮ることができる」というメリットをもたらしましたが、撮った大量の写真をどのように保管するのか、どのように家族や友人たちと共有するのかという、新たな煩わしい問題を生み出しました。

フィルムカメラ時代のDPEやアルバムは、「家族写真や旅行やイベントなどの写真を保管し、家族や友人などとプライベートな共有をする」ための、誰もが使うことができる手段やサービスでした。しかし、写真はメモリーカードに記録し、パソコンに転送し、オンラインアルバムなどのサービスで共有したりしなければならないものになりました。膨大な量の写真が、メモリカードやパソコンに保存されたままになっているかもしれません。

一方で、スマホカメラとSNSは、それまでになかった「ソーシャルな共有」という、新しい写真の体験を生み出しました。Facebook、Instagram、Twitter、LINE、Snap...写真を共有するSNSを数え上げれば切りがありません。人々が撮った写真は保管するものではなく、コミュニケーションに欠かせないコンテンツだったことを、私たちは再発見しました。

写真のソーシャルな共有という目的では、スマホカメラで"good enough"です。アップルやグーグルやファーウェイの最新のスマホのカメラでは、それ以上の素晴らしい写真が撮れるようになりました。クラウドではなく機器でAIが動くようになったそれらのカメラは、今後、写真を撮るための作業を大きく減らしてくれるようになるでしょう。

しかし、表を見れば、デジタルカメラの市場が縮小した原因がスマホカメラではないことがわかると思います。デジタルカメラで撮った「家族写真や旅行やイベントなどの写真を保管し、家族や友人などとプライベートな共有をする」ための「パソコンとオンラインアルバム」という手段やサービスのわかりにくさ、使いにくさ、面倒くささ、すなわちユーザー体験の悪さが、人々の、デジタルカメラを使おうという意欲を失わせているのです。

しかし、「家族写真や旅行やイベントなどの写真を保管し、家族や友人などとプライベートな共有をする」というニーズがなくなってしまったはずはありません。それはスマホカメラとSNSによって満たされてもいません。ニーズが潜在化してしまった、あるいは人々があきらめてしまっているのです。

フィルムカメラもデジタルカメラもスマホカメラも、それぞれの目的を達成するためには、連携する手段やサービスとの連携が必須です。その全体のプロセスを通したユーザー体験が顧客価値になります。写真を撮るための機能や性能をいくら向上させても、デジタルカメラの市場を回復させることはできません。

まず、「家族写真や旅行やイベントなどの写真を保管し、家族や友人などとプライベートな共有をする」ための新しい手段やサービスを考えなければなりません。写真は「家族や友人などとプライベートな」コミュニケーションをするためのコンテンツのひとつであるということも考える必要があります。そして、その手段やサービスと一体化した、シームレスで良質なユーザー体験を提供する撮影機器、カメラの機能を再定義します。

記事の更新はTwitter (@kyosukek)でお知らせします。


あなたが最寄駅に到着したことをGPSで検知して自宅のエアコンや照明をオンにしたり、外出を検知すると家電の電源をオフにしたりする……家電メーカーや、最近では携帯キャリアまでが、スマートホームという構想や、それに基づいた製品やサービスを発表しています。しかし、あなたは、こんなことが本当に必要だと思いますか。

3月に経済産業省が、『スマートホームにおける現状と将来像の実現に向けた検討の方向性について』という資料を公開しました。生活者にとって、スマートホームというものは、どのような価値があるのでしょうか。資料を読み解いてみました。

内容
  • スマートホームとは何か?
  • 家電メーカーが取り組むべきこと
スマートホームは"スマート"じゃない → Wedge Infinity

次回は「家電をスマートにするには?」ということを考えてみる予定です

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