Amazonをブラブラしていてたまたま見つけた本、その値段(195円)にびっくりしてサンプルも読まずに1-Click™で購入してしまった。



他に読みかけのおもしろい本があったのだが、ちょうどiPodについてブログを書こうかなと思っていたのでこっちを読み始めてしまった。iPodについて書こうかと思ったのは、LinkedInでChris Fralicの記事The Butterfly that Started the Apple Tsunamiで、ちょうど10年前にiPod/iTunesがWindows対応をしたということに気づいたからだ。

On October 16th, 2003, Apple launched "the best Windows program ever" - iTunes for Windows.- Back then Apple had a whopping 3.2% and declining US computer market share. The idea of Apple writing software for the PC was heresy inside of Apple.

2003年10月16日にAppleは、”かつてない最高のWindowsのプログラム” iTunes for Windowsを発表した。その当時Appleのコンピュータ市場のシェアは3.2%にすぎず、さらに減少しつつあった。Windowsのソフトウェアを書くという考えはアップルではありえないことだった。

iPod
その時Windowsユーザーだった僕も10年ぶりのApple製品となる第3世代のiPodを購入して以来、iPhone/iPadを買い続けるようになってしまった。その最初のiPodは今でも現役で(もちろんバッテリーはへたってしまい、そのコネクタをサポートするPCもなくなり音楽を更新することができなくなってしまったが)、車のオーディオのCDチェンジャーコネクタに接続されてちょっと古い音楽を鳴らしてくれている。



そう、ジョブズは2007年のマックワールドで"Today Apple is going to reinvent the phone!(今日、Appleは電話を再発明する!)"と言ったが、世界を変える発明はiPodによってなされたと僕は考えている。

Appleは2001年1月9日にサンフランシスコで開催されたマックワールドエキスポで初めてiTunesを発表した。iTunesは2000年にジョブズがCEOに復帰した直後にAppleがその権利を買収したSound Jam MPというソフトを元に、Appleに移籍したその開発者たちが開発したそうだ。このときジョブズは、同時にデジタルハブ構想も発表している。パソコンがさまざまなデジタル機器を相互連携させるためのハブとしての役割を担うことによって、デジタル機器が人々のライフスタイルをもっと楽しく便利にするものになるというものだ。
"Say hello to iPod. 1,000 songs in your pocket."というキャッチコピーで初代iPodが発表されるのはその年の10月23日になる。もちろん、iTunesとデジタルハブ構想を同時に発表したのだから、そのときすでにiPodという新しいデジタル機器のイメージはできていたはずだ。AppleはiTunesの発表の直後に携帯音楽プレーヤーの市場調査を始め、それからiPodの開発に着手したようだ。
そして2年後の2003年に第3世代のiPodとiTunes Music Storeが発表された。それは単なるiPodという携帯音楽プレーヤーとしてだけではなく、それに音楽というデジタルコンテンツの流通メディアとしてのインターネットと、そのコンテンツをiPodに中継するハブとしてのiTunes/PCとが統合された新しいプラットホームの発明の瞬間だった。ジョブズがSound Jam MPを見たときに、どこまでを見通していたのだろうか?

この「まずiTunesがあった」という事実が非常に興味深い。iTunesというPCのソフトウェアからiPodという新しいデジタル機器が生まれ、そこで消費されるコンテンツを供給するメディアとしてiTunes Music Storeが生まれた。段階的に市場に問いかけるように試行錯誤を繰り返して徐々にイノベーションを起こしてゆく。それと同時にユーザー獲得の施策の積み上げをやってゆく過程で、その新しい価値に気付いたユーザーを味方につけ、その勢いを利用して市場拡張をはかり、最初はコンテンツ提供を渋っていたプロバイダー側もその流れに乗らざるを得ない状況がつくられて、そのシステムのプラットホームとしての要件が満たされていった。そしていったん音楽というひとつのジャンルのコンテンツ市場においてユーザーのコミットメントを得てコンバージェンスに成功すると、そこからの拡張はそれまでより格段に容易になる。TechCrunchの記事のインタビューの中でNolan Bushnellが言っている。

"I actually think iPhone was actually an exchange of iPod ecology."

ジョブズが最初に唱えたデジタルハブ構想は、モバイル通信とクラウドというインフラの発展によってデジタル機器とサービス/コンテンツが直接つながり、パソコンによる中継が不要になったことによってモデルが変わった。iPodやiPhoneが扱うコンテンツも多様化し、iTunes Music StoreはiTunes Storeに発展してiCloudという新しいしくみも現れた。いうまでもなく、Appleの収益のほとんどはiPhone/iPad/iPodというハードウェアからもたらされている。Nolan Bushnellは、「Appleは未だにiPodで止まっている」と言っているが、他のものづくり企業を含めてまだまだ世界を変える(再)発明のチャンスは多く残されている。僕は「まずiTunesがあった」から、ということが1つの糸口だと思っている。

冒頭に紹介した本に次のような記述があった。

JON RUBINSTEIN
We argued with Steve a bunch [about putting iTunes on Windows], and he said no. Finally, Phil Schiller and I said "We’re going to do it." And Steve said, "Fuck you guys, do whatever you want. You’re responsible." And he stormed out of the room. 
 
我々は、WindowsにiTunesを提供することについてスティーブと多くの議論をした。そしてついにフィルと私は「我々はやります。」と言った。スティーブは「くそったれ!好きなようにするがいいさ、責任はとれよ!」といって部屋から飛び出していってしまった。

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