私たち(PerceptIn)は世界に先駆けて、まず日本で、自動運転のLSEV(低速電動車両)を使用した無人のタクシーサービス、マイクロ・ロボットタクシーを提供しようと考えています。
 
 「マイクロモビリティ」と呼ばれる短距離の移動手段として、自転車や電動キックスクーターなどのシェアリングサービスが登場してきていますが、それらを利用できる人は限られています。
 
私たちのサービスは、家族連れや少人数のグループ、そして日本の人口の1/4とも言われる高齢者など交通弱者のためのマイクロモビリティです。地域の住民の生活の足、観光地での観光スポット巡り、そしてテーマパークの中の移動のアトラクションとしても利用していただきたいと考えています。
 
シェアリングエコノミーの時代になり、モビリティも所有から利用に変化しつつあります。これまで一台のマイカーを、買い物や通勤やレジャーなど多目的に利用してきましたが、MaaSによって目的に応じたモビリティを利用できるようになります。それはモビリティが多様化してゆくということも意味しています。マイクロ・ロボットタクシーには、大きな潜在ニーズがあると考えています。
 
今年中に自治体様などの支援をいただいて、非公道での実証実験をいくつか実施する予定です。そして、必要なステップを踏んで、2022年までには、公道での商用サービスを実現したいと考えています。
 
ロボット業界のPoC死(ぽっくし)
 
「ビジネス+IT」の『世界のロボット新製品』という連載記事(リンク)のなかに、「PoC死」という表現がありました。
ロボット業界では、ロボット開発会社が、導入を検討している企業などと「まずは(購入前に)PoCから」ということで、持ち出しで実証実験やデモを行うことがよくあるが、結果として導入されないということも実はしばしば起こっている。
潤沢な資金のないスタートアップにとって「持ち出しで実証実験」はきつい。さらに「結果として導入されない」となると生死に関わります。それによって、企業そのものが破たんしてしまうことを「PoC死(ぽっくし)」と呼んでいるのです。これは他人事ではありません。
 
エリック・リースは、著書『リーンスタートアップ』の中で、プロダクト・マーケット・フィットのために、製品をプロトタイプの段階から実際のユーザーに使ってもらって、「構築 - 計測 - 学習」のサイクルを繰り返すことが重要だと説いています。

ウェブサービスの場合、そのビジネスモデルは、サービスの利用が完全に無料であったりフリーミアムであったりします。プロトタイプや、必要な最小限の機能だけを実装したサービス(MVP)を、多くのユーザーに使ってもらうことが比較的容易でしょう。そして、得られたフィードバックによって改良した製品を公開することも、ウェブサービスであれば毎日でも可能です。

マイクロ・ロボットタクシーという、まったく新しいコンセプトのPoCとは、まさに「構築 - 計測 - 学習」のサイクルを繰り返し、顧客や社会の「何ができるの?」「本当にできるの?」といった疑問に答え、これまでになかった新しい価値を理解してもらうことに他なりません。しかし、それはウェブサービスほど容易なものではありません。

公道での実験については、平成28年に、警察庁がガイドラインを示しています。運転手が乗車することが義務付けられており、公道では完全な無人運転の実験はできません。そして「実験施設等において、公道において発生し得る様々な条件や事態を想定した走行を十分に行うこと」とされています。非公道での走行試験は、そのために必要なステップになります。公道での試験は、歩行者や自動車などの交通量の少ない道路から始め、段階的に実施する必要があります。

レベル4のガイドライン

2014年ごろから始まった第三次ロボットブームで登場したロボットは、そのブームの原因となった東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年をいかに迎え、いかに越えていくか?前述の記事には次のように書かれています。
これ(PoC死)を避けるために一番重要なのは、2020年以降をきちんとイメージすることだ。ロボットの普及、浸透にはまだまだ時間がかかるのも間違いない。2020年という大波を乗り切って、その先に向けての取り組みをどうか目指してもらいたい。
これまで日本には、自動運転を可能にする法律はありませんでしたが、3月8日に自動運転車の公道走行ルールを盛り込んだ道路運送車両法・道路交通法の一部を改正する法律が閣議決定され、オリンピックの開催までには施行されるとのことです。国交省の資料によると、この改正の目標と効果には、高速道路における自動運転(レベル3)の実用化だけでなく、2020年までに、限定地域における無人の自動運転移動サービス(レベル4)を実用化すると書かれていました。
 
そして、6月26日に「限定地域での無人自動運転移動サービスにおいて旅客自動車運送事業者が安全性・利便性を確保するためのガイドライン」が国交省から発表されました。
 
それによると、旅客自動車運送事業者は、限定地域での無人自動運転移動サービスにおいても、運転者が車内にいる場合と同等の安全性及び利便性を確保することが必要とされ、レベル4に係る技術が確立し制度が整備されるまでは「遠隔監視・操作者の監視等による安全確保措置」を前提とし、運行の安全の確保のための以下のようなガイドラインが示されています。
  • 車両の特性等を確実に把握した上で、適切なルート・エリアとすることや、保安基準の基準緩和認定制度に従って十分な代替の安全確保措置を講ずること等により運行の安全を確保すること
  • 通信の遅延時間が生じるといった車両の特性の把握等について、遠隔監視・操作者に対する指導監督を行うこと
そして、技術が確立し制度が整備された後
  • 使用する車両は、「自動運転車の安全技術ガイドライン」等で規定された安全性に関する要件に適合させること
  • 実際のルート・エリアは、設定された走行環境条件内で、適切な範囲に設定すること
他にも、ガイドライン本文(リンク)には、対応すべき事項が詳細に記述されています。

私たちのマイクロ・ロボットタクシーは、まさに「限定地域における無人の自動運転移動サービス(レベル4)」であり、このガイドラインが提示されたことによって、PoCの先にある社会実装のイメージを明確にすることができます。PerceptIn Japanは、旅客自動車運送事業者様に、車両と「限定地域における無人の自動運転移動サービス(レベル4)」の仕組みをご提供し、サービスの立ち上げと運用のサポートを行います。

BM
 
もちろん、乗り越えなければならない課題は他にも多くあります。

無人の車両の公道での走行は、1949年のジュネーブ条約で禁止されています。ウェイモのロボットタクシーも、実証実験では完全無人であったにも関わらず、フェニックスで始まった商用サービスでは、運転席にセイフティードライバーが座っている理由もこのためだと思われます。しかし、国交省が2020にレベル4を実用化するという目標を掲げたということから、この問題も解決するのではないかと期待しています。

川手恭輔
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