デザイン思考で行こう!

Life will find a way, we'll find a way Technology lives.

タグ:IDEO

モノづくりのデザイン思考 (連載 11)

一般消費者向けの製品をつくる製造業では、技術シーズから新しい製品の企画・開発がスタートすることが多いと思います。むしろ、画期的な製品は革新的な技術によって生み出されています。D.A.ノーマンは、自身のエッセー"Technology First, Needs Last"の中で次のように言っています。
まず技術が最初にあって次に製品、そして新しいアプリケーションが快適になるに連れてニーズがゆっくりと顕在化し、最後にそれが必要不可欠なものになる。
アプリケーションとは、その製品によって提供される体験と考えて良いでしょう。問題あるいはニーズは、それを解決する(満たす)製品が現れて初めて顕在化する。それまで潜在的なニーズというものは存在しない。新しい製品が現れてから、あたかも潜在していたニーズが顕在化したように見えるだけだということです。 

イノベーションはシーズ起点

デザイン思考や人間中心デザインの提唱者でもあるノーマンは、それらのアプローチ、すなわち本当の問題を特定してからその解決策を考えるというアプローチでは製品の機能や仕様の改善にしか結びつかない。ラディカル(不連続)な技術革新がなければ、イノベーションを起こすことはできないとも言っています。

近年、AIが機械学習、特にディープラーニングという技術によって飛躍的に進化し、デジタル(コンピュータ)そしてインターネットの次の、あらゆる経済活動で広く用いられる重要な汎用技術(GPT)になる可能性を帯びてきました。AIは(恐らく)次のイノベーションを可能にするラディカルな技術革新でしょう。

しかしシーズ起点で、(例えばAIなどの)革新的な技術によって実現が可能になる画期的なアイデアを考えても、それをそのまま製品化してしまうと「釘を探すハンマー」をつくってしまうことになりかねなません。打つべき釘(ニーズ)がなければハンマー(製品)に価値はありません。そのような製品はソリューションウェアと呼ばれています。技術シーズからソリューションウェアをつくってしまわないためには、その製品のアプリケーションが顕在化しようとしているニーズを明確にすることが必要です。 

デザイン思考はニーズ起点

デザイン思考とは「何らかのシーズと人々のニーズとを調和させてプロダクトをつくるための方法論」で、そのシーズは「技術的に実現可能なもの」「顧客価値と市場機会に転換できるもの」とされています(IDEO ティム・ブラウン)。前者はプロダクトのアイデア、後者は技術やデータやコンテンツなどの企業の保有資産と考えるとわかりやすいでしょう。

デザイン思考のプロセスはニーズを起点にしています。IDEOで実施されているプロセスは「観察」というステップから始まります。
  • 現実の生活における人々を「観察」し、何が人々を行動させるのか、さらに何が人々を混乱させるのか、人々は何を好み何を嫌うのか、現在提供されている製品やサービスでは満たされていない潜在ニーズがどこにあるかを探し出す
そして発見した問題やニーズを解決したり満たしたりすための、技術的に実現可能な製品のアイデアを考えます。この段階でアイデアの実現に必要なシーズが選択されるので、それは自ずとニーズと調和します。

シーズ起点で顧客領域に遡上する

設計工学において用いられているプロセス論では、顧客領域で明確に定義した顧客ニーズを機能領域において要求仕様に落とし、それを実体領域で設計してプロセス領域で生産するとされています。機能領域の要求仕様は顧客領域のアウトプットの顧客ニーズの写像であるべきですが、技術シーズを起点にすると顧客領域のステップがスキップされて機能領域からプロセスが始まり、利用可能な技術の視点からエンジニアによって顧客ニーズが設定されて要求仕様が決められてしまいがちです。 
Axiomatic
出所:公理的設計 , Nam Pyo Suh
 
シーズ起点で「シーズと人々のニーズとを調和させる」には、機能領域から顧客領域に遡上して「観察」を行う必要があります。しかし、すでに機能仕様が想定されていると、答(機能仕様)のための問題(ニーズ)を無理に見つけようとしたり創り出したりしてしまう危険があります。

基本的なニーズを再定義する 

人々の基本的なニーズは不変ですが、技術によってそれを満たす手段が変化してきました。音楽を聴いたり、写真を撮ったり、ランニングをしたりする目的は人によってそれぞれ異なるでしょうが、「ひとりの人」に注目すると、新しい技術によって提供された製品やサービスによってその方法が変わっても、その基本的なニーズは変わらないということです。

まず、あなたが提供する製品を使う人々の基本的なニーズを再定義します。「いつでもどこででも好きな音楽を聴いていたい」「子供が生まれたので、その成長を記録して家族の幸せを残しておきたい」というように、あなたの顧客の「ひとりの人」になりきって(Empathize)できるだけ具体的に考えることが必要です。それは顧客も意識していないことかもしれませんし、あなた(製品の提供者)も明確に定義したことがないことかもしれません。携帯音楽プレーヤーは「音楽を聴くもの」で、カメラは「写真を撮るもの」だと、あたりまえに考えているかもしれません。

もちろん「ひとりの人」は何人もいます。カメラで子供の成長ではなく、旅行の思い出を記録しようと考える人もいます。それらは同じものではなく別々の基本的なニーズです。その別々の基本的なニーズを再定義します。基本的なニーズが不変という意味は、「ひとりの人」にずっと不変に存在するということではありません。子育てが終わった人の「子供の成長の記録」という基本的なニーズは消滅するかもしれませんが、それは別の「ひとりの人」の基本的なニーズとして新たに生まれます。

製品のコンセプトを定義する

あなたがシーズ起点で考えた「革新的な技術によって実現可能になる画期的なアイデア」は、現在の製品を使っている顧客が抱えている、どのような問題を解決しようとしているのでしょうか。再定義した「人々の基本的なニーズ」を満たす「手段」をどのように変えるものなのでしょうか。

ここでの「観察」は問題を探すことではなく、そのアイデアすなわち画期的な手段が解決しようとしている、これまでの手段の問題やニーズを明確に定義することが目的です。それが製品のコンセプトになります。その問題を解決することによって、顧客はどのような新しい体験の価値を得られるのでしょうか。その問題は、すでに存在する他の手段で解決できてしまわないでしょうか。その問題は、あなたが解決する価値があるのでしょうか。その問題は、まだ誰も気づいていないでしょうか。これらの質問にシンプルに答えておかなければなりません。

「ひとりの人」「基本的なニーズ」そして、それを満たすための新たな手段が「解決しようとする問題」の明確な定義が、顧客領域の写像として機能領域へのインプットになります。
 
ご相談やお問い合わせは、contact に @ と ibornb.red をつけたアドレスまでメールでお寄せください。 

お断り これは連載のために過去の記事を書き直したものです。

モノづくりのデザイン思考 (連載 9)

人々の基本的なニーズは不変で、新しく生まれた技術によって、その手段だけが変化して行きます。技術の進化が無限であれば、人々が何かをする手段も無限に変化する可能性があります。

イノベーションを起こすためには、製品やサービスを利用する人々の基本的なニーズを再認識して、そのために提供されている現在の製品やサービス(手段)はどれも未完成で、変えることが可能なものだと信じることが必要です。この考え方で「デザイン思考」を補完して、イノベーションの取り組みに活用することができます。

デザイン思考とその具体的なプロセスは広く学ばれ実践されていますが、IDEOで実施されているプロセスは次のようなものです。
  1. その市場、クライアント、テクノロジー、そして与えられた問題に関して認識されている制約事項を「理解」する
  2. 現実の生活における人々を「観察」し、現在提供されている製品やサービスでは満たされていない潜在ニーズがどこにあるかを探し出す
  3. それまでになかった新しいコンセプトとそれを使うであろう顧客を「視覚化」する 
  4. 「プロトタイプ」を評価し洗練することを何回も素早く繰り返す
  5.  新しいコンセプトを市場に出すために「製品化」する
「理解」は、IDEOのようなコンサルティング会社として、クライアントすなわち製品やサービスを提供する側の状況を理解するということです。コンサルタントとしてクライアントの経営課題に取り組む場合でも、自社の製品やサービスのイノベーションに取り組む場合でも、その会社(自社)の事業の市場や関連するテクノロジーを理解し、そして直面する経営課題に関して認識されている制約事項を理解することなくしては始まりません。もちろん、制約事項に捉われていたのではイノベーションのジレンマに陥ってしまいます。

デザイン思考のプロセスはニーズの発見を起点にしています。現実の生活における人々を「観察」し、何が人々を行動させるのか、さらに何が人々を混乱させるのか、人々は何を好み何を嫌うのか、現在提供されている製品やサービスでは満たされていない潜在ニーズがどこにあるかを探し出す。

しかし問題あるいはニーズは、それを解決する(満たす)答えが現れて初めて顕在化することがあります。それまで潜在ニーズというものは存在しない。iPodやiPhoneのような画期的な製品の場合、答えが提供されてから新たなニーズが生まれたと考えるべきでしょう。
かつては「必要は発明の母」であり、人々が必要と求めるものが先にあり、科学者や企業はそれを察知して発明にいそしむのが常であった。生活や生産からの要求を技術者が追いかけていたのだ。ところが、今や「発明は必要の母」となった。人々は新たに発明されたものを見て、実は必要性があったのだと錯覚して生活に取り入れるようになったからだ。企業が提供する科学・技術に先導され、余分なものでも必要と感じて買いこむというふうに順序が逆転したのである。
科学と人間の不協和音(池内 了)
「人は形にして見せて貰うまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ」と言ったスティーブ・ジョブズは、どのようにしてiPodやiPhoneのアイデアを思いついたのでしょう。

D.A.ノーマンは「誰のためのデザイン?」の改訂版で次のように述べています。
インクリメンタルなイノベーションは既存の製品をもとにそれらをよりよくするという取り組みである。それに対しラディカルなイノベーションは何もないところからスタートし、何かを可能にする新しい技術によってドライブされることが多い。HCD(人間中心設計プロセス)のデザイン手法はインクリメンタルなイノベーションに適している。ラディカルなイノベーションを導くことはできない。
ISOで規定されているHCDやデザイン思考のプロセスは、インタラクティブ・システムや、そのほかの製品やサービスのユーザビリティ改善のために考えられたものです。ノーマンはそれらの取り組みをヒル(丘)クライミングと呼び「ヒルクライミングは、登り始めた丘の頂上を発見することができるかもしれないが、最良の丘を上っているとは限らない。別の丘を登るためには、それを可能にする新しい技術が必要だ」と言っています。

イノベーションに取り組む人が「存在しない潜在ニーズ」に気づくためには、まず新しい技術を発見しなければなりません。それには利用可能な技術を見極めて応用する力が必要になります。

すでにiPodやiPhoneの前に、メモリーを内蔵した携帯型の音楽プレーヤーやスマートフォンは存在していたので、ジョブズは、それらを変えることによって、それまでにない新しい経験を提供できると考えたのだと思います。「登り始めた丘を登る」ということは経験の改善を目指す取り組みを指し、そして「別の丘を登る」とは新しい経験を創り出すことを意味しています。ジョブズは、変えるための新しい技術(シーズ)を先に発見していたはずです。

音楽や写真やコミュニケーションやゲームなどのコンテンツや関連する情報がデジタル化されることによって、それらの市場にデジタル・コンバージェンス(産業融合)が起きました。いったんデジタル・コンバージェンスが起きた市場では、さらなる変化を起こしやすくなります。 それはアナログ時代に比べて、メディアの技術革新が頻繁に起こるようになったからです。ウォークマンに取って代わったiPodも、あっというまにアプリケーションの一つとしてiPhoneに吸収されてしまい、さらにストリーミング配信がインターネットを利用した音楽配信サービスの主流になりつつあります。「外出先で音楽を楽しみたい」という人々の基本的なニーズは不変ですが、音楽を記録し保管し伝送するメディアの進化によって、音楽を楽しむための新しい手段が次々に生まれています。

いま、自社の製品やサービスのイノベーションすなわち「別の丘を登る」ために必要な新しい技術として、デジタル化された情報やコンテンツを記録し保管し伝送し表示するメディアの進歩に注目すべきです。製品やサービスに関連する情報やコンテンツの新しい流れを作ることができないか。昨日までは難しかったことが、明日には可能になるかもしれない。それによって、これまでにない新しい経験を提供できないだろうか。製品やサービスに関連するコンテンツや情報の新しい流れをデザインし、その流れに合わせて製品やサービスを再定義する。

IDEOの共同創業者のティム・ブラウンは、デザイン思考とは、何らかのシーズと人々のニーズとを調和させてプロダクトをつくるための方法論だと定義しています。「視覚化」のステップでは、ストーリーボードやビデオなどを使って、まだ存在しない未来の製品やサービスが提供されたときの人々の生活や行動を「視覚化」します。それによって未来の人々の経験を客観的に「観察」し、シーズとニーズが調和しているかを検証することができます。

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お断り これは連載のために過去の記事を書き直したものです。

数年前、メーカに勤務するコンサルタント嫌いの友人に「コンサルタントをやるなら読まなければ」と言われて読んだ本(墨子)の森 三樹三郎氏の訳者解説に、次のような興味深い記述があった。
我が国の戦国時代の浪人は、たとえば真田幸村や後藤又兵衛などのように、槍一筋を生命とする武士であったが、中国の戦国時代に発生した浪人は、いわば舌一枚を生命とする弁士であった。なぜこのような違いが生まれたか、その理由は様々あるにしても、根本的なものは地理的条件であったように思われる。我が国のように、狭い土地に多数の群雄がひしめいているところでは、直接的な武力が一切を決定する。ところが、あの広大な中国では、直接的な武力よりも、ひろい意味での戦力、つまり政治力、経済力といった要因が、より優位を占める。それは過去の日中戦争が如実に示している。したがって、ここでは槍一筋の武士よりも、舌一枚を生命とする弁士に対する需要度の方が高かったわけである。

このようにして中国の戦国時代に発生した多数の文化的浪人、失業インテリたちは、かれらの政治に対する抱負や、経済政策を資本として、諸侯の間を渡りあるき、その売り込みに努力した。さしずめ彼らは国家経営を専門とするコンサルタントであったいえよう。「諸子百家」と呼ばれる人々は、このような文化的浪人である、コンサルタントであったわけである。
前半の部分は、現代の日本の企業間競争にあてはめても良いだろう。
  • 日本国内にひしめき合う企業間の競争においては、戦術遂行に向いた、直接的な戦力となる人材が必要とされ育つ
  • グローバルな競争においては、広い意味での戦力、つまりビジョンや戦略立案能力を持った人材が必要とされ育つ
グローバルな競争のなかで企業戦略の立案やその遂行のノウハウを習得した人材が、何らかの理由で文化的浪人や失業インテリとなり、さらに経験を積んでゆくことによって孔子や墨子のような「諸子百家」となる。

コンサルティング会社の創業者には諸子百家のような経歴を持ち、実際に企業の中で働いた経験の中から、戦略の立案やその遂行についての新しい考え方や方法論を編み出した人がいる。そして、それを資本にしてコンサルティングを生業としつつ、さらにスキルを磨いてゆく。そのようなコンサルタントは、クライアントの抱える様々な課題に対応することができる柔軟性や応用力が身に付いてゆく。

コンサルティング会社の多くは、その確立された方法論を商品として売り物にしている。商品にするためには、その方法論を繰り返し利用できて、いろいろな状況や条件の下でも使える汎用性を持つようにパッケージ化する必要がある。実施例を商品価値として積み上げ、各々のコンサルタントの経験やスキルに関わらず売れるものにしてゆかなければならない。しかしその過程で、その考え方の本来の価値が見えなくなってしまったり失われてしまうことがあるように思う。

本を薦めてくれた友人にコンサルタント嫌いの理由を聞くと、いくつかのテーマでコンサルタントとの付き合いがあったが、友人の会社が抱えている問題の本質を理解しないまま、そのパッケージを押し付けてきたり、あるいは提携しているらしきITベンダーのシステムを売り込むためとしか思えない提案をしてきたという。

諸子百家は舌一枚を生命とする弁士だとしても、舌先三寸ではクライアントの信頼を得ることはできない。先輩のコンサルタントのアシスタントとしていくつかの事例を経験しただけでは、それらの事例と異なる案件に対応することは難しいだろう。もちろん、コンサルティング会社のすべてのコンサルタントが、実際に企業で働いた経験を持つべきだということではない。

次の5つのステップは、デザインコンサルティング会社IDEOにおいて実施されているディープダイブとよばれるデザイン思考のプロセスだ。
  1. その市場、クライアント、テクノロジーを理解し、そして与えられた問題に関して認識されている制約事項を理解 する。

  2. 現実の生活における人々を観察し、現在提供されている製品やサービスでは満たされていない潜在ニーズがどこにあるかを探し出す。

  3. それまでになかった新しいコンセプトとそれを使うであろう顧客を視覚化する。

  4. プロトタイプを評価し洗練することを何回も素早く繰り返す。

  5. 新しいコンセプトを市場に出すために製品化する。
この1と2は、一般のコンサルティングにとっても必要不可欠なことだ。与えられた課題がクライアント企業の業務に関することであれば、2の「人々」はその業務を担当する社員で、クライアント企業のプロダクトに関するものであれば、それはクライアント企業の製品やサービスを利用する顧客だ。

クライアント企業から与えられた課題についても鵜呑みにせずに、実はその裏に本当の問題が潜んでいるかもしれないという疑いを持つことも必要なことだ。IDEO社のコンサルティングは、企業のトップマネージメントへの提案となることが多いようだが、IDEOのブランド力もあって、クライアントにとって少々耳障りな問題点の指摘も受け入れられるかもしれない。

そんな面倒なことをするよりも、投げられた課題に素直に取り組み、クライアント企業の担当者が社内への説明や成果報告がやり易いようにまとめるコンサルティングをするほうが楽だと考えるのも無理はない。かくして、友人のようなコンサルタント嫌いが生まれることになる。

森 三樹三郎氏は、封建諸侯の国内には、まだまだ世襲的身分の伝統が残っており諸子百家のような浪人の入り込む隙がなかったので、彼らは国家経営の直接担当者となることをあきらめてコンサルタントたることに満足するほかはなかったとも書いている。

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では、ここまでの人間不在デザインを人間中心デザインに転換しよう。
 
HCDでは、まず解決すべき問題を設定し、ユーザー調査とニーズ分析によってユーザーの行動と感情を理解し、設定した問題の原因やユーザーのニーズを発見してからデザインのコンセプトをまとめる。前回紹介したISOで規定されている「人間中心設計(HCD)プロセス」のステップ(とメソッド)は次のように図示できる。
hcd-step
この場合最初の取り組みは、現在の製品やサービスのユーザーの利用状況の理解と明示ということになる。
Tom Kelleyによる"The Art of Innovation: Success Through Innovation the IDEO Way"の中で、IDEOで実施されているデザイン思考のプロセスの5つのステップにおける「利用状況の理解と明示」に相当する取り組みは次のように説明されている。
現実の生活における人々を観察し、何が人々を行動させるのか、さらに何が人々を混乱させるのか、人々は何を好み何を嫌うのか、現在提供されている製品やサービスでは満たされていない潜在ニーズがどこにあるかを探し出す。
これらのアプローチに対して、ここまでのモノのリマスタリングでは、まず「モノに関する情報やコンテンツをインターネットで扱うことによって可能になる「新しいユーザー体験」を描くという、ドメインエキスパートや技術者の思い込みによる完全に人間不在の取り組みから始めている。
  1. モノに関連する情報やコンテンツをインターネットで扱うことによって可能になる「新しいユーザー体験」を描く
  2. バリュープロポジションを定義する
  3. それを実現する製品「ハード」「ソフト」「サービス」を再定義する 
この最初のステップは、さらに次のように細分化する。
dr-step
「コンテンツ・情報の流れの分析・検討」はすでに説明した。そしてFriskを噛んで新しいユーザー体験のアイデアを思いついたら、そのアイデアを視覚化する。
IDEOデザイン思考のプロセスの3番目のステップは次のように説明されている。
それまでになかった新しいコンセプトとそれを使うであろう顧客を視覚化する。 一部の人々は、このステップを未来を予測することだと考えている。そしてこのプロセスの中で最もブレインストーミングを必要とするフェーズである。視覚化はコンピュータを使った演出やシュミレーションの形式をとることが非常に多いが、IDEOでは毎年数千もの模型やプロトタイプも作成されている。新しい製品のカテゴリーの場合は、合成したキャラクターと、ストーリーボードに図で描いたシナリオを使ってユーザー体験を視覚化したりする。場合によっては、まだ存在しない未来の製品が提供されたときの生活をビデオにしたりもする。
ここではコンセプトを「戦略マップ」と「ユーザーストーリー」によって視覚化する(戦略マップについては次回以降に説明する)。
視覚化することは、プロジェクトチームにおいてコンセプトを共通の理解として共有しやすくするという狙いもあるが、IDEOの場合はコンセプトをクライアントに説明(プレゼン)するためのマテリアルであるとも考えられ、その目的に合った表現方法が採られているようだ。ここではまず、HCDのプロセスの「利用者と組織の要求事項の明示」という2番目のステップで用いられているペルソナ/シナリオ法を用いて「まだ存在しない未来の製品が提供されたときの生活」というユーザーストーリーを文章で描いてみよう。すでに製品の機能のイメージはできているかもしれないが、その機能を説明するのではなく、それによって可能になることを書く。たとえばiPodのクリックホイールを例にすると、「親指で円を描くだけでタイトルをスクロールさせて音楽を探すことができる」というのではなく、「片手だけで1000曲の中から好きな音楽をあっという間に選べる」という感じにだ。あるいは最初はクリックホイールというアイデアがまだないときは、「1000曲を持ち歩けばいつでも好きな音楽が聴ける」でいいかもしれない。
この最初のユーザーストーリーを文章で書く目的のひとつは「新しいユーザー体験を描くことの意義」で書いたように、プロジェクトのメンバーで最初に思いついたアイデアを、シナリオを描く過程での気づきで膨らませたり、いろいろなペルソナやユースケースにおいても価値があるかを確認することだ。

そして、この最初のユーザーストーリー、すなわち「まだ存在しない未来の製品が提供されたときの生活」について書いたストーリーをいろいろな人に読んでもらってコメントをもらう。
問題あるいはニーズには、それを解決する(満たす)モノが現れて初めて顕在化するものがある。それまで潜在的なニーズというものは存在しない。それまでになかった新しいコンセプトの製品(モノ)が現れてから、あたかも潜在していたニーズが顕在化したように見えるだけだ。このようなケースでは、「人間中心設計プロセス」のプロセスの「現在の製品やサービスのユーザーの利用状況の理解と明示」からという取り組みは難しい。
そこで、未来の製品やサービスのユーザーの利用状況を現在の人々に見てもらって、自分の「潜在ニーズ」に気づくかどうか試してみようということだ。以前の記事で「共感アンケート」と言ったが、LTF(ルック・トゥ・ザ・フューチャー)と呼ぶことにした。LTFアンケート、LTFインタビューなどと。
LTF
これはリーンスタートアップで提唱されているMVP(Minimum Viable Product:仮説の検証に必要な最低限の機能を持った製品)と同じようにも思えるがLTFはプロダクトではない。MVPもちゃんとした製品やサービスの形をとらなくてもその一部であったり、その機能を表す何か、たとえばペーパーモックやビデオであったりする。LTFは製品やサービスの説明をするものではない。それが提供されたときの人々の生活を表したものだ。そのストーリーを読んでもらい、そこからプロジェクトで狙いをつけた潜在的なニーズを顕在化させる製品やサービスについての気づきやヒントを得ようというのだ。アンケートやインタビューの方法は、HCDやリーンシリーズの書籍に書かれている方法と同様だ。製品やサービスに対する回答者の質問に答えたり、LTFに書いていない情報を提供したり、アイデアの弁護や誘導を行わないようにする。その人の現在の状況と比較してコメントや感想を自由に書いてもらう。

アンケートを前提にすると、模倣されると困るようなことを書くことはできない。しかし、読み手にとってあまりにも抽象的すぎたり理解しにくいものであると、価値のあるコメントが得られなくなりアンケートの意味がなくなってしまう。
インテルのフューチャリスト(未来研究員)によるSFプロトタイプも「その技術は未来にどのように具体的に用いられ、未来の生活として展開していくかを書く」というLTFと同様のものだが、これは社内の技術者が読むために書かれるので技術やアイデアが外部に漏れることはない。ストーリーを描く前にどのような人たちにアンケートに答えてもらうかも考えなければならない。アンケートのバージョンは「片手だけで1000曲の中から好きな音楽をあっという間に選べる」よりは「1000曲を持ち歩けばいつでも好きな音楽が聴ける」のほうがいいだろう。アンケートに「1000曲から音楽をどう探すんだ?」という疑問が帰ってくるかもしれない。あえて抽象化したつもりのない部分にも、同様の疑問や指摘がされるだろう。それらは、技術的に解決したりUX/UIで挑戦したりしなければならない課題なのかもしれない。どのようなコメントであれ、その奥に潜んでいる人々の思いに共感し、コンセプトや想定している機能などと照らし合わせてみる価値がある。この共感はHCDなどでも言われているように、Sympathy(同情)ではなくEmphathy(感情移入)のほうの意味で、アンケートに答えてくれた人になりきってなぜそのようなコメントをしたのかを考えようということだ。問題やニーズを引き出すためや、提供しようとしている体験に価値を感じるかどうかを知るために、とくにコメントをほしい部分に下線をひいたりしてもいい。しかし、そうでないところに多くのコメントが付いたりもする。
これは、実際にやってみると思った以上に面白いはずだ。

考えている製品やサービスによって、ユーザーストーリーのスケールが異なるだろうが、複数のペルソナについて異なったシナリオを描いたほうがいいだろう。1つの方法だが、4人のペルソナに登場してもらい、新しい製品やザービスの価値を伝えるための起承転結となるストーリー構成を考える。最初のペルソナには「問題提起」をしてもらう。もちろん、未来の世界ではその問題は解決されているのだから、その解決された生活を強調して描いて読み手の現在の生活とのギャップを感じて問題に気づいてもらうようにする。
例えば、なにかのきっかけで聴きたくなった曲をすぐに探して聴いているというシーンを描いて、数枚のCDを持ち歩いている現在とのギャップを感じてもらう。気持ちがすぐに変わってどんどん別の曲を探すなどの状況もいいかもしれない。次のペルソナには、1000曲あるはそれ以上の大量の音楽を持ち歩けることによって可能になる体験をいろいろな角度から描き、ペルソナの感じた気持ちすなわち価値を表現する。「転」では、シャッフルなどの機能をイメージして忘れていた音楽との思いがけない出会い、それによっていろいろなことを思い出して、その頃の曲をたどってしまう。要するにコンテンツ(音楽)自体が持つ価値を新しい製品やサービスで最大化することを考えればいいわけだ。そして最後のペルソナには、新しい体験の世界観を伝えてもらうか、さらにその先の展開を想像させるようなストーリーを語ってもらう。もちろん、誇張したり実現性のないことを描くことがナンセンスであることは言うまでもない。ストーリーのバリエーションがみつからないとしたら、まだそのアイデアは人々に問うところまで考えられていないのかもしれない。
このユーザーストーリーを読んで想像力を働かせた人は「そもそも購入していない曲が聴きたくなったらどうするのか?」とか「そんなにあっても何を聴いていいかわからない」とかのコメントをきっとしてくれる。起承転結の構成にしておくと、最初ネガティブなコメントを描いた人が、読み進んだ後半になって違った印象でコメントしてくれたりもする。その流れからインサイトを読み解くにはちょっと想像力と柔軟性が必要かもしれない。
自分が思いついたアイデアにたいするネガティブなコメントは、たとえば「この読者はターゲットじゃないな」などと自分で言い訳をして解決してしまったり無視してしまったりする。そのアイデアを守ろうとするのではなく育てようとする気持ちが重要だ。すべて、思い込みを気づかせてくれる貴重なコメントかもしれないと考えてみよう。

開発者の思い込みといえば、エリック・リースの「リーンスタートアップ〜思い込みを捨てて、顧客から学ぼう〜」というタイトルを思い出すだろう。上にも書いたように、LTFはそこで提案されているMVPと狙いは同じようなものだ。
さらにIDEOの文章をちょっと書き換えてみると、
未来の生活における人々を観察し、何が人々を行動させるのか、さらに何が人々を混乱させるのか、人々は何を好み何を嫌うのか、未来に提供される製品やサービスで満たすべき潜在ニーズがどこにあるかを探し出す。
というように時間が変わっただけ。そして実はHCDのステップと「調査」をするタイミングが変わっただけなのかもしれない。デザイン思考に基づいて考えられたいろいろなメソッドはどんどん活用し応用していこう。

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それはあなた自身だ。
HBR(ハーバード・ビジネス・レビュー)の記事に次のような記述があった。
"The only way out of this innovation gridlock is an expansion in founding team diversity. I believe the missing piece from the DNA in the founding teams of Transformational Companies is now the Domain Expert, who has deep insight into the industry they are trying to disrupt. Without a domain expert attempts at disruption are unimaginative and incremental at best.
There are so many industries ripe for technology startups to disrupt: Education, Health Care, Business, Art and Government just to name a few. But where are the domain experts ready to be paired with a team of rockstar engineers and superstar designers? "

イノベーションの停滞状況から抜け出す唯一の道は、創業者チームの多様性を拡大することだ。私は「変革型企業」の創業者チームのDNAに欠けているものは、彼らが変革を起こそうとしている産業分野に詳しいドメイン・エキスパートであると信じている。ドメイン・エキスパートなしでは変革の企ても想像力に乏しくなり大した成果も期待できない。
教育、ヘルスケア、ビジネス、アート、政府、その他にもテクノロジースタートアップの変革を待っている産業は数多く存在する。しかしロックスター・エンジニアやスーパースター・デザイナーとチームが組めるドメイン・エキスパートはどこにいるのだろうか?
新しい企業が既存の市場に変革を起こすためには“Founder Market Fit”(創業者と市場が適合していること)が必要であり、その創業者チームに必要な人材は時代とともに変わってきている。最初はHPやApple、Microsoftなどのように一人か二人のエンジニアと一人のセールスマンがいればよかったが、現在はデザイン思考などで語られているようにデザイナーの時代になった。しかし、それもすでに市場に適合しなくなっているという。



Tom Kelleyによるこの本の中で、IDEOにおいて実施されているデザイン思考のプロセスの5つのステップが紹介されている。
  1. その市場、クライアント、テクノロジーを理解し、そして与えられた問題に関して認識されている制約事項を理解 する。後でそれらの制約事項に挑戦することもあるが、まずは現状の認識を理解しておくことが重要だ。

  2. 現実の生活における人々を観察し、何が人々を行動させるのか、さらに何が人々を混乱させるのか、人々は何を好み何を嫌うのか、現在提供されている製品やサービスでは満たされていない潜在ニーズがどこにあるかを探し出す。

  3. それまでになかった新しいコンセプトとそれを使うであろう顧客を視覚化する。 一部の人々は、このステップを未来を予測することだと考えている。そしてこのプロセスの中で最もブレインストーミングを必要とするフェーズである。視覚化はコンピュータを使った演出やシュミレーションの形式をとることが非常に多いが、IDEOでは毎年数千もの模型やプロトタイプも作成されている。新しい製品のカテゴリーの場合は、合成したキャラクターと、ストーリーボードに図で描いたシナリオを使ってユーザー体験を視覚化したりする。場合によっては、まだ存在しない未来の製品が提供されたときの生活をビデオにしたりもする。

  4. プロトタイプを評価し洗練することを何回も素早く繰り返す。最初の頃のプロトタイプは変更することになるので、あまり執着しないようにしている。どんなアイデアでも改良しなければ大したものにはならないので一連の改良を加えることを前提としなければならない。社内のチーム、クライアントのチーム、プロジェクトに直接参加していない有識者、ターゲット市場を形成する人々などからのインプットを得るようにする。何が機能して何が機能していないのか、何が人々を戸惑わせているのか、人々はどのように感じているかなどを注意深く観察し、繰り返しの中で徐々に製品を改良してゆく。

  5. 新しいコンセプトを市場に出すために製品化する。このフェーズはしばしば長期間にわたり、開発プロセスの中でも技術的にもっともチャレンジングだ。しかし、IDEOのこれまでのすべての創造的な仕事は、IDEOが持つ製品化を成功させる力への信頼の証しだと信じている。
(原書"The Art of Innovation: Success Through Innovation the IDEO Way"からの訳)
1の「理解」について「市場、クライアント、技術などに関する制約事項を理解する」との解釈が見受けられるが、認識されている制約事項は「与えられた問題に関して」であり、クライアントや技術などの制約事項とするとちょっと意味がおかしくなってしまうように思う。

注意しなければならないのは、このプロセスはあくまでも多くの優秀なエンジニアとインダスリアルデザイナーを擁したIDEOで行われているということだ。心理学、建築学、経営学、言語学、生物学といった分野のバックグランドをもつメンバーも多いそうだ。IDEOはデザイン・コンサルティングファーム(会社)で、多くのクライアントは大企業であり、その経営層からの経営戦略に関わる案件を手掛けている。プロセスの1と5のステップは、それを前提としたものであるが、しかし1から5のすべてのステップとタレントが揃ってこそ、IDEOのこれまでのすべての創造的な仕事という成果をあげることができたのだ。

2008年6月のHarvard Business ReviewでTim Brownが次のように書いている。 
Put simply, design thinking is a discipline that uses the designer's sensibility and methods to match people's needs with what is technologically feasible and what a viable business strategy can convert into customer value and market opportunity.

デザイン思考とは簡単に言えば、採り得る事業戦略によって顧客価値と市場機会に転換することができ、かつ技術的に実現可能である何かを、デザイナーの感性と手法を用いて人々のニーズに調和させる専門分野である。 
IDEOにおいては、インダスリアルデザイナーだけでなく、エンジニアあるいはそれ以外を専門とする人も含めてメンバーのすべてが、この「デザイナーの感性と手法」を備えてえいるということだろう。

IDEOのデザイン思考やそのプロセスは、 広く学ばれ実践されている。その中心にいるスタンフォード大学のデザインスクール「d.school(Institute of Design at Stanford)」 によるテキストの日本語翻訳版「デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド -the d.school bootcamp bootleg-」が一般社団法人デザイン思考研究所から提供されている。そこではデザイン思考の5ステップが次のようになっている。
  1. Empathize:共感
  2. Define:問題定義
  3. Ideate:創造
  4. Prototype:プロトタイプ
  5. Test:テスト
このテキストでは、オリジナルのステップの1(理解)と5(製品化)が消えてしまっている。2(観察)が共感と問題提起に分割され、3(視覚化)が創造となり、4(プロトタイプ)がプロトタイプとテストに分割されている。一見するとオリジナルの1(理解)と共感が対応するように思えるが、1(理解)はコンサルタントから見てのクライアント、すなわち製品やサービスを提供する側の状況を理解するということであり、d.schoolのテキストにおける共感は製品やサービスを利用する人々の気持ちになりきって考えるためのステップである。デザインスクールのカリキュラムやワークショップのテキストとして、その2つが扱いにくいということは理解できるが、この消えてしまった2つはデザイン思考において非常に重要なステップだと思う。
コンサルティングとしてクライアントの経営課題に取り組む場合でも、自社のイノベーションに取り組む場合でも、その会社(自社)の事業の市場や関連するテクノロジーを理解し、そして直面する経営課題に関して認識されている制約事項を理解 することなくしては始まらない。

デザイン思考と人間中心のデザイン(HCD)とはどこが違うのかという質問を受けて、自分もその関係をちゃんと理解していないことに気付いた。イノベーションを起こすための3ステップ・ツールキット〜人間中心デザイン思考:Human-Centered Design Thinking〜 by IDEO.orgという資料が前出の一般社団法人デザイン思考研究所で提供されていることからも混乱してしまう。
実は人間中心のデザインプロセスはISOで規定されている(ISO 13407, JIS X 8530)。 それによると「人間中心設計プロセス」とは「製品(インタラクティブ・システム)のユーザビリティ改善について規定した プロセス規格」とかなり限定されている。そしてそのプロセスのステップ(とメソッド)は、
  1. 利用状況の理解と明示(コンテクスト調査法)
  2. 利用者と組織の要求事項の明示(ペルソナ/シナリオ法)
  3. 設計による解決策の作成(プロトタイプ作成)
  4. 要求事項に対する設計の評価(ユーザビリティ・テスト)
となっている。これはd.schoolのテキストのプロセスと同様だ。「HCDの手法はインクリメンタルなイノベーションに適している。ラディカルなイノベーションを導くことはできない。」とノーマンが言っている。ラディカルなイノベーションのためには、IDEOのオリジナルのデザイン思考のプロセスとそれに取り組むメンバーの高いスキルが必須となる。
勝手な解釈だが、デザイン思考とは考え方"Mindset"でありプロセスは規定していない。ISOで規定されているHCDやd.schoolのテキストのステップやメソッドは、デザイン思考に基づいて、インタラクティブ・システムやそのほかの製品やサービスのユーザビリティ改善のために考えられたプロセスであり、IDEOで用いられているプロセスも同様にデザイン思考に基づいて考えられたプロセスの1つだと考えるとしっくりする。

最初に戻ろう。

ドメイン・エキスパートはあなた自身だ。あなたは、あなたが変革を起こそうとしている自社の属する産業分野に詳しいはずだ。そしてさらに、その産業分野に関連する技術についてもおおよそ把握している。あなたはすでにIDEOのデザイン思考のオリジナルのステップの1(理解)はクリアしている。しかし、これまではあなたの顧客のことをあまり気にしていなかった。あなたがエンジニアであってもビジネスパーソンであっても、IDEOのスタッフのようにデザイン思考の考え方を身につけることによって、あなたはあなたの顧客になりきる(Empathize)ことができるようになる。
たったこれだけのことを言いたかっただけなのだが、例によって引用とその勝手な分析が長くなってしまった。

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